郷土料理こそがイタリア料理の真髄!
イタリア各地方の郷土料理や、マンマが工夫して作った料理を研究している齊藤奈津子さんが、家でも出来る簡単なイタリア料理をご紹介します。
イタリアのお弁当は“豪快スタイル”
今回はちょっとイタリアのお弁当の話を。
イタリアのランチというと、2時間くらい掛けてゆっくりと食べるイメージがありますが、少なくとも私が住んでいたフィレンツェでは、比較的みんな忙しく、お昼休みも1時間程度。
職場と家が近い人は家に帰って食べることもありますが、意外にも多くのイタリア人が、日本と同様にオフィスにお弁当を持って行っていました。
イメージと違いますね。
お弁当のことをイタリア語で“porta pranzo(ポルタ プランゾ)”と言いますが、ポルタが「持つ、運ぶ」などの意味で プランゾが「お昼」。
まさに「お昼を持っていく」という名前で呼ばれています。
そんな気になるイタリアのお弁当の中身はというと……?
細かい仕切りの中に、色とりどりの具材が何種類も入っている日本のお弁当とは違い、パスタやリゾット、カポナータといった野菜の煮物などが、それぞれ別のタッパーにドーンと豪快に入っているスタイル。
開けた瞬間に思わず「わーっ」と笑顔になるようなお弁当というよりは、ちょっと寂しい感じ。味はもちろん美味しいのですが。
わざわざお弁当の為に早起きをするという習慣はあまりなく、前日の残り物をパパッとタッパーに入れて持って行くので、ある日友人に、“日本式お弁当”なるものを作ったら、本当に感動していた一方で、これを毎朝早く起きて作る日本人ってすごすぎる! と言われました。
ただ、イタリアのお弁当事情も変わりつつあり、最近では日本のように仕切りのあるお弁当箱も、スーパーなどで普通に見かけるようになりました。
いつかイタリア版キャラ弁などが登場する日も近いかもしれませんね。
今後もイタリアのお弁当事情に注目したいと思います。
2020.09.08(火)
文=齊藤奈津子
撮影=佐藤 亘