まわりを気にせず突き進んだ結果、パフェがガラパゴス化しました
紅はるかの干し芋とお米のアイスのモンテビアンコ2020春 1,900円。自家製干し芋あんで富士山をかたどった日本版モンブラン。お米のアイスやクロモジ、カシス入り。裾野には青木ヶ原の樹海も。「せっかく和素材を使うなら日本の山に。このパフェのために器も特注」(森さん)。
長年パフェと向き合い、最高のパフォーマンスを追い求めた結果、「冷蔵庫の中で作業する」という答えにたどり着きました。
パフェの形も器使いも斬新!
店名の「à ma façon」はフランス語で「私のやり方で」という意味ですが、僕の中では「自分の流儀を貫きます」という宣言に近い感じですね。
「L'atelier à ma façon」パティシエの森 郁磨さん。
もともと、常識や前例にとらわれず創作してきたので、僕のパフェは形も器も食材も多種多様。すでにガラパゴス化していますが、常に16度に設定した冷蔵の厨房を手に入れたことで、より自由で緻密なパフェの創作が可能になりました。
薔薇とタイベリーの香る揺蕩うイチゴのメルバ2020 3,000円。オリジナルのメルバは桃を使うが、森さんは特に力を注いできたイチゴをテーマに再構築。表面をフランボワーズのジュレでコーティングし、赤い見た目を残すことで考案者への敬意を表している。「先人の知恵を借りてグラスの中で遊んでいます」(森さん)。
パフェは舶来のものですが、日本で独自の変化を遂げたもの。見た目や量を競わず、意味のある食材だけを使って、グラスの中に文化を詰めていきたいです。
2020.07.20(月)
Text=Chiaki Tanabe(Choki!)
Photographs=Ichisei Hiramatsu
CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
この記事の掲載号
CREA
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