コスト面ではどちらがお得?
それでは、(2)のポイントであるコスト面についてはどうでしょう。
まず、賃貸のメリットは、初期投資がほとんど必要ないため、万一のときに大損しません。また、敷金や礼金を支払う必要がある場合が多いものの、頭金ほどの大きなお金を用意する必要がないため、その分を自分に投資したり、株式などに投資したりと、別のことに有効活用できます。
ただし、デメリットとしては、大家さんの利益分のコストがかかるので家賃は割高になりますし、一生賃貸でいく人は、家賃を支払い続けるための収入や資産が必要となります。
一方、持ち家のメリットは、最終的に資産となる可能性があることです。また、収入が少なくなる老後に家賃を支払い続けなくてもよいというのも、大きなメリットと言えるでしょう。
デメリットとしては、不動産価格が下がると損をする可能性があることや、固定資産税をはじめとする税金、改修・修繕費が必要となることが挙げられます。マンションであれば、購入代金の他に管理費や修繕積立金も必要となることも注意しなければいけません。
また、不動産の購入にかかる費用についても、しっかり計算してから検討することが大切です。
住宅の平均購入価格は、土地付注文住宅の全国平均が約3607万円(首都圏では約4396万円)、マンションの場合は約3840万円(首都圏では約4211万円)となっています(平成23年度 フラット35利用者調査報告)。
キャッシュで購入できるなら、賃貸よりコストが割安となる場合も多いですが、多くの人は住宅ローンを組みます。たとえば3500万円を2%の金利で35年借りると、総返済額は約4870万円。1370万円は利息の支払いとなります。持ち家の物件価格と賃貸料を支払い続けた場合のコストを単純に比較すると、持ち家のほうがお得に見えることもありますが、ローンを組む場合は、物件価格に利息の支払いがプラスされることを考慮して賃貸と比較しましょう。
以上が賃貸、持ち家の代表的なメリット・デメリットです。賃貸か持ち家かどちらが良いかは自分のライフスタイルに合わせて選択をすることが大切です。まわりの人がこうしているから、などという理由でなんとなく決めるのではなく、自分の価値観や家計の状況をしっかり把握し、失敗のない選択をしていきましょう。
Column
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2013.02.10(日)
text:Yoko Hanawa
photograph:Miki Fukano