「うわー、最後か……」

――演者の方々の多くが本気で笑神籤はヤラセなのではないかと疑っていたようですが、おふたりも疑っていましたか。

松陰寺 そういう噂は聞いていたので、どうなんだろうなと思っていましたが、今回から半透明になりましたよね。あれを見て、それはないなと思いました。

――同じコンビの名前を書いたものだけを入れた箱がいくつかあるみたいな噂があったそうですが、透けていたら、全部同じ名前なのがばれてしまいますもんね。

松陰寺 ええ、M-1はガチです。

――ぺこぱにとって、前の9組がいい「振り」になったと分析しているコンビがけっこういました。つまり、そこまでは関西弁の、割と強い言葉の漫才が多かったので、最後、関東弁で「やさしい漫才」と評されたぺこぱのネタがより際立ったのではないか、と。

松陰寺 そのときは、まったく思わなかったですね。後になって、そうだったのかなとは思いましたけど。順番が違ったら、また違う結果になっていたでしょうね。

 実際は「うわー、最後か」って感じでした。ただ、もうやるしかなかったし、10番目は唯一、クジを引く前に出番がわかるので、そのぶん心の準備はできた。待ち疲れしていたこともあって、ぜんぜん緊張はしてませんでした。

2020.06.21(日)
文=中村 計
写真=山元茂樹/文藝春秋