ペストによる失職や帰郷が 偉大な発見につながったニュートン
興味深いエピソードを紹介しましょう。
第2回のコラムを書くにあたり、感染症の歴史をひも解いていたら、14世紀のパンデミックは今年初めに作った土星と冥王星のコンジャンクションに関係が深いことがわかりました。
続いて17世紀のイギリスで起こったロンドンの大疫病の時代の星を調べてみると、1665年初頭、木星と土星は2020年と同じ、山羊座にありました。
「万有引力の法則」の発見で後世に名を成した数学・物理学・天文学者のアイザック・ニュートンは、伝染病の蔓延で勤務先のケンブリッジ大学が閉鎖となり(今でいうロックダウン?)、故郷に戻ることになります。
彼の大学での身分は、講師の小間使い兼学生、つまり生活費を稼ぎながら勉強に励む苦学生だったとか。
それがペスト禍を逃れて雑事から完全に解放され、1665~1666年、自由に思索する日々を過ごした最中に、後の様々な発明の基礎を築いたといいます。
2020年春、私たちは新型コロナウィルス感染を避けるため、「#STAY HOME~家で過ごそう」というスローガンのもと、かつて経験したことがないライフスタイルを受け入れました。
料理に目覚める人、断捨離を敢行する人、ネットで映画やドラマ、アーティストライブの沼にハマる人、オンライン飲み会で人とのつながりを確認した人もいるでしょう。
あの不思議な時間の中に、きっと次の時代を生きるヒントが隠されているのだと思います。
ニュートンの隠遁生活は、「創造的休暇」とも呼ばれています。ペストで失業したからこそ手に入れた貴重な時間でした。
今年5月末から6月にかけて、明け方の南東の空に木星が明るく輝きます。スマホのカメラで写真を撮ると、そのすぐそばに位置する土星も写ります。17世紀にニュートンが見上げた星の配置を、同じように眺めることができるのは、なかなか感動的です。
年末には水瓶座の0度で起こる木星と土星のグレートコンジャンクション。既にその予兆は、緊急事態宣言中にも表れていました。
たとえば休業要請を受けた飲食業のみなさんは、アイデアを駆使して従来型の「レストラン」「カフェ」「居酒屋」の在り方を一度解体し、再構築する必要に迫られています。
「地の時代」から「風の時代」へ。
持たない暮らし、流動的な「場」の作り方、オンライン学習や講習会、本業に執着せず副収入を得るゲリラ的な方法を探る、風通しのよいコミュニケーション、衣食住にまつわるサブスクリプション、オンライン決済、知識やアイデアや経験を売る小売業、リモートワーク、土地や土地の値段に縛られない生活をめざすなどなど。
脈絡なく羅列してしまいましたが、どれも年末に迎える水瓶座でのグレートコンジャンクションに通じるキーワードです。
一見、不幸に思える出来事が、幸運の種を宿しているのが2020年後半。水瓶座は発明家、革命家、自由人、アウトサイダーの星。
あなたのなかに“小さな発明家”を住まわせることが、今年の後半を乗り切るキーワードです。
岡本翔子の「占星術で時代を読む~この時代をどう生きる?」
2020.05.27(水)
文=岡本翔子
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