息苦しい時代は終わりへ ―グランドミューテーション―
約20年毎に起こる「木星と土星のグレートコンジャンクション」のエレメント(注:星座は火・地・風・水の4エレメントに分類されます)が、200年毎に変わる現象を、占星術ではグランドミューテーションと呼びます。
直訳すると“偉大なる突然変異”でしょうか。それがゆっくりと始まるのが2020年の年末です。
占星術は星座や惑星のシンボリズムを使って、個人の持って生まれたものや未来に起こる出来事だけではなく、世の中の動向や流行、ある時代を覆っているムードなどを読み解いていくアプローチです。
産業革命によって市場経済が大きな力を持ち、簡単に言うと目に見える土地やお金、世俗的な成功をよしとする価値観が主流となった時代に私たちは生きてきました。
今年の年末に起こる木星と土星のグレートコンジャンクションは、それが風の星座である水瓶座の0度で起こります。
風の星座は知性とコミュニケーション、知識と情報、ネットワーク、理想や概念(コンセプト)といった目に見えないやや抽象的な世界を司ります。
とりわけ水瓶座は、自由と平等、オリジナリティ、改革精神、友愛、博愛精神をキーワードとする星座。また発明や最新テクノロジー、AI、ソーシャルメディアなども水瓶座の領域です。
200年単位で時代を捉えていくと、新しい時代をあらわす芽は、ずいぶん前から雨後の筍のように現れるものですが、それが一気に広がり浸透するのが2020年ということになります。
もう少しわかりやすく言うと、ひとりひとりがその個性を発揮しやすい環境作りが進み、一部の特権階級だけが享受していたあらゆるチャンスが、だれにでも開かれる時代がやってくるということ。
とはいえ時代の変わり目の年には、ある種の「ゆがみ」や「揺らぎ」が起こります。
過去200年の間、人類は「地の星座」の価値観に沿って、安全で秩序のある機能的な社会を維持する法律を定め、大衆を支配する国や政府を創り上げてきました。
確かにあなたが大企業の株主やCEOといった成功者であれば、この社会や資本主義はうまく機能しているように見えます。
でも、もしあなたが一介の会社員や派遣社員、個人事業主、シングルマザー、フリーター、アーティストもしくは、未だ夢や目標を追いかける途中にいる人だったとしたら、「この社会はなんだか息苦しい。もっと自由な世の中になってほしい」と願う人も多いでしょう。
そんな人々の無意識が大きなうねりとなって、“偉大なる突然変異”が起こると占星術は考えます。
大きな風が吹き、新しい「風の時代」が始まります。
しかし社会が大きく変わるには、それなりの劇薬が必要。
普通にそこそこ暮らしていける安定を手放したい人はそうそういません。痛みを伴う変革よりも、現状維持に流れるのも人間の常です。
2020.05.20(水)
文=岡本翔子