台湾で、地域の人々に長年愛されているレストランやスイーツのお店。そんな、ストーリーのある名店を2軒ピックアップ!
お店や料理にまつわる、素敵なストーリーを語ってもらいました。
最初は、台北から日帰りで行ける人気の温泉地・北投からスタートし、現在は高級住宅街の天母で台湾料理を提供する金蓬萊。ミシュランの星も獲得し、多くの人がわざわざ訪れる人気店の3代目が目指す未来とは?
» ストーリーのあるおやつを見る(5/13公開)
3代続く伝統の味を守りながら 繊細に緻密に努力を重ねたい
金蓬萊遵古台菜餐廳(ジンポンライズングータイツァイツァンティン)
台北市北部にある天母は、外国人居留者の多い高級住宅街。インターナショナルスクールや日本人学校、大使館などが集中するエリアでもある。
高層の建物が多い市内中心部から車で20分ほど走ると、緑豊かで閑静な住宅街が現れる。
その一角に立つ一軒家の邸宅風レストランが、3代目のオーナーシェフである陳 博璿さんが切り盛りする金蓬萊だ。
「祖父が北投で食堂を始めたのは1950年代。政府高官や上流階級の宴席に出す“酒家菜”と呼ばれる、いわゆる高級台湾宴席料理の提供が家業の始まりだと聞いています」
日本統治時代には北投に料亭があり、夜ごと宴席が繰り広げられていたそうだ。日本人経営の高級料亭で働く陳さんの祖父がつくる料理は、食通のあいだで評判となる。
台湾料理は福建料理をベースに、豊かな海山の幸を取り入れて発展してきたといわれるが、祖父の料理は宴席に重用されるだけあって、高級食材を使うのが特徴だった。
独立後に「蓬莱食堂」をオープンしてからも、祖父は腕を磨き続け、人々を惹きつける店になったという。
「幼い頃の遊び場は祖父が料理をつくっている厨房でした。鮑やカラスミなどをあーんと食べさせられたりして。今思えば、知らず知らずのうちに舌の教育を受けていたんですね」
いったんは別の職業に就いた博璿さんにとって、それは後に大きな糧となる。
2020.05.11(月)
Photographs=Wataru Sato
Coordination=TOP TAIWAN MEDIA FACTORY
Cooperation=Taiwan Tourism Bureau