小さなインディーズ映画でずっとやっていきたい

 出演作を絞る姿勢もあってか、それ以降しばらくは長谷川が世間で話題になることといえば、鈴木京香との関係を取り沙汰する記事が多かった。しかし長谷川はこの時代にも俳優としての実力を身に着けていたようだ。

 長谷川が出演した映画『地獄でなぜ悪い』(2012年)、『ラブ&ピース』(2015年)で脚本・監督を務めた鬼才・園子温氏が打ち明ける。

 「彼とは人の紹介で出会い、映画をいっぱい見ている映画青年という印象でした。同世代の役者の中では一番海外の映画を見ているんじゃないでしょうか。すぐに馬が合いましたね。

 彼はとにかくフレキシブルに自由自在に役作りができて、演技に柔軟性があるんです。自分に向いていないとかではなく、おもしろいから何でもやってみようという役者ですね。彼は小さなインディーズ映画でずっとやっていきたいと言っていました」

 しかし長谷川は2016年、メジャーシーンで代表作を得ることになる。興行収入82.5億円を記録した大ヒット映画『シン・ゴジラ』だ。

 「彼はこの話を受けるかどうかずっと悩んでいました。でも僕は出たほうがいいと、強く推したんです。『一回は立派になったほうがいい。行きつくところまでいって、世間で立派だと言われるようになってから、またこっちの世界に戻ってきたら』と。

 大河ドラマが終わったら、彼はもっと個性的な作品に出演していくんじゃないですかね。そろそろこっちに帰ってきたほうがいいんじゃないかと思いますけど(笑)。また一緒に、変態映画を撮りたいですね」(同前)

 “京香の男”から名実ともに大俳優への階段を駆け上がった長谷川博己。明智光秀は三日天下で終わったが、長谷川の天下はどこまで続くか。

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※こちらの記事は、2020年3月8日に公開されたものです。

記事提供:文春オンライン

2020.03.22(日)
文=「週刊文春デジタル」編集部