バリアフリーが徹底された
そのような成功を目指したい

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、多くの駅がリニューアルし、たくさんの商業施設が続々とオープンしている東京。ラグビーW杯も大成功に終わったが、この経験をどのように活かし、オリンピック・パラリンピックに繋げていくのでしょうか。

「ラグビーW杯は全国12カ所の会場がありましたが、東京スタジアムでも重要なゲームが行われました。期間中は、各国のユニホームを着た海外の方たちがたくさん歩いていましたよね。

 運営側も、特に大きなトラブルもなく無事に閉幕しましたが、多言語対応してきたのも効果があったのではないかと思います。多言語化は、来年さらに多くのお客様をお迎えするためにも必須です。レストランのメニューひとつとっても、海外ではタブレットで指せば注文できます。

 そういうノウハウもシェアしていけば、路地裏にあるような小さなお店でもちゃんと注文ができる。多くのお店でそのような工夫ができれば、それらを含めて”おもてなし”に繋がっていくのではないかと思います」

 なかでもパラリンピックでは、「バリアフリーを徹底していきたい」と続けます。

「今、改めて気を配って進めなければならないのが、パラリンピック成功のため、徹底したバリアフリー化を推し進めていきたいということです。たとえば、宿泊施設のバリアフリー化を進めるために条例も改正しました。客室の入り口の間口を広げることで、車椅子を入りやすくするなど、宿泊環境を整備すべく、補助金を出しています。

 のちに『東京は、2020年のパラリンピックでバリアフリーが徹底されたんだよね』といわれるように進めていきたいですね。また、どこの駅にバリアフリーのトイレがあるか、エレベーターがあるかなど、そういう情報をよりきめ細やかに伝えたい。それも現代のおもてなしだと思います」

 情報化社会である現代、調べ物や地図を確認するにも、スマートフォンやタブレットが必須なだけに、通信面の整備も重要な課題のひとつ。

「現在、次世代ネットワークの5Gを整えようとしています。Wi-Fi環境をさらに整備することで、通信が途切れない東京にしたい。ラグビーW杯の東京スタジアムでも、タブレットで解説を見ながら実際の試合を観戦しているお客さんが大勢いました。何万人もの人たちが同時に見ると回線が重たくなるので、それを解消しなければいけないと思っています」

2020.01.06(月)
文=梅津有希子
撮影=佐藤 亘、文藝春秋