ここ数年、海外では日本の戦後の前衛アートへの関心が急速に高まっている。11月18日からMoMA(ニューヨーク近代美術館)で始まった「TOKYO 1955-1970:新しい前衛」展は、1950年代後半から60年代の東京に焦点を当て、そこで展開した独創的なアートを紹介する展覧会だ。
60人を超えるアーティストによる約300点の作品は5つのセクションに分けられている。最初は50年代半ばの作品群で、戦争による人心の荒廃や社会問題をリアリズムによらない大胆な手法で描き出した作品が中心。岡本太郎や池田龍雄、河原温などの絵画が並ぶ。
(グッゲンハイム美術館「具体:素晴らしき遊戯場」展)
(C) Makiko Murakami and the former members of the Gutai Art Association, courtesy Museum of Osaka University
続くセクションでは批評家の滝口修造を中心とした実験工房、関西から東京に進出した具体美術協会、前衛アートの実験場として有名だった草月アートセンターの活動を紹介。芸術家たちのグループが時にはメンバー間の共同作業を行いながら、新しい表現の可能性を追求していったことがわかる。
そして3番目のセクションでは、無審査の公募展で若手の過激な作品発表の場となった読売アンデパンダン展や高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之によって結成されたハイレッド・センターなどの活動記録を展示。従来の芸術の枠を破り、街頭に表現の場を求めたアーティストたちの大胆な冒険は、今の目から見ても新鮮だ。
2012.11.29(木)