エドゥアール・マネ 「パリジェンヌ」(1875)

 9月25日からパリのオルセー美術館で始まった「印象派とモード」展は、印象派の画家たちの作品を通じて、19世紀後半の華やかなファッションの世界を垣間見せてくれる展覧会だ。

 印象派の画家たちは日常の人間に着目し、都市や田舎の自然のなかで当時の「近代的」なライフスタイルを享受する人々を描いた。この展覧会ではそれらの人々の「装い」に焦点を当て、1860年代から80年代にかけてのモードの変遷を読み解いていく。

マネの絵と同じ時代につくられたドレスも展示
(C) Photo Gilles Labrosse

 19世紀後半、パリは世界の流行の中心地だった。当時のフランスでは新興のブルジョワジーが社会の主役となり、百貨店が次々と誕生。消費文化の幕が切って落とされた。ファッション・ブランドが急増し、それを支える繊維産業も成長を遂げた。印象派の画家たちの多くはブルジョワジーの出身で、家族や友人たちを好んで描いた。マネやルノワールのように女性を多く描いた画家の作品では、衣服が女性の美しさを際立たせる要素として扱われている。

名画とともに楽しむ時代の装い

2012.10.25(木)