丹波篠山は、昔から極上食材の宝庫として知られています。栗、大粒の黒豆、大納言小豆、山の芋……。近年はそれらに黒豆の枝豆が加わり、秋は毎週末ずっと、篠山を訪れる人たちで大賑わい。普段は静かな城下町が、なんだかすごいことになっています。
そんな丹波篠山産の素材にこだわったお菓子とパンのお店が、2012年4月、兵庫県芦屋市にできました。場所は、芦屋市の中でも近年注目を集めている茶屋之町。雑貨店やスイーツショップなどが点在する、芦屋川にほど近い、桜並木の通りにあります。店名の「SASAYAMA KINMATA」は、篠山にある創業400年以上の老舗料理旅館「近又」のこと。篠山の高級素材を使ったお料理と心づくしのおもてなしで知られています。地元ならではの選び抜いた素材を、それらの持ち味を知り尽くした方法で調理。そんな極みの黒豆煮、栗の渋皮煮、大納言小豆のあんを使用したお菓子やパンがおいしくないはずがありません。
定番のひとつが、「近又の和ごころ」とネーミングされたどら焼き。皮には丹波篠山の山の芋をすりおろして練り込んであります。この山の芋は粘りがすごく強い(我が家はこの山の芋で作るとろろが大好物。おだしでかなりのばしても、お箸で持ち上げられるくらい粘りがあります)。だから、皮ももっちりしていて、しっかりした歯応え。そんな生地だから、2枚ではさむのではなく、包むスタイルになっています。
同じく篠山にある「小田垣商店」は極上の小豆や黒豆を扱うお店。そこの小豆、大粒の丹波大納言を使った粒あんに丹波栗の甘煮を入れて皮に包んだのが「小田垣商店の大粒大納言」。大きな小豆の粒と栗の食感がアクセントです。「くりきんとんと丹波栗の渋皮煮」は、まろやかな栗入りのクリームと、カットした栗が入った生クリーム、そして、大きな渋皮煮の三重奏。栗を堪能できます。意外で新鮮なおいしさなのが「クリームチーズと丹波の黒豆」。クリームチーズに丹波大納言小豆を混ぜてあります。風味豊かで上品な甘さの黒豆がクリームチーズと好相性。クリーミィで濃い味はコーヒーにもよく合います。どれも、ふわふわでなく、むちむちした皮の食感が独特。クセになります。
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2012.11.11(日)