8ビット風の映像は
ファミコン世代ならでは
――今回、4人の少年少女の人生を体現するときの方法として、8ビットなど、懐かしい低ビットのTVゲーム風映像にした理由は?
僕は自分の人生を切り出さないと作品を撮れないんです。少年時代はゲームばかりやっていたので、8ビット風な映像に関しては、ごくごく自然な流れだったと思います。
僕自身が最近の情報量が多い高クオリティゲームに心が反応しないんですよ。この映画の少年少女たちのような現代の若いコも、情報量の少ない低ゲームに反応して、面白がってくれる気もしますし。
――演出において、特に心掛けたことは?
まず、自分たちスタッフが心地良いリズムで音のコンテを作っているので、それを基に「速い・遅い」のスピード感については指示しました。
元々感情的なスクリプトなので、演技はできるだけフラットなものを求めました。
――本作でもサンダンス映画祭において、審査員特別賞オリジナリティ賞に輝き、日本人監督として初の快挙を果たしました。これは、やはり「アニメのテンポ感」と「古き良き日本映画」を合わせた“ネオジャパニーズ”という評価なのでしょうか?
僕にとっては普通でも、アメリカ人にとっては“新たなジャンルを撮れる監督”と見られているようです。アニメはもともとエモーショナルですし、昔の日本映画も、じつはエネルギッシュで、カットも早かったりするんですよね。大島渚監督や新藤兼人監督、川島雄三監督などの実験的で情熱的な日本映画は。
アニメなら『マインド・ゲーム』などのSTUDIO4℃作品や、最近なら「キルラキル」あたりの、スタイルにとらわれていない作品が好きですね。『ホーホケキョ となりの山田くん』も!
2019.06.14(金)
文=くれい響
写真=松本輝一