「時には娼婦のように」が
鳴り響いてほしい場所は?

大ヒットを記録したシングルであるが、この曲を引っ提げて紅白に出場することはなかった。その理由は、聴けば分かる、聴かないと分かんない、ピタット……あ、もういいですか。
大ヒットを記録したシングルであるが、この曲を引っ提げて紅白に出場することはなかった。その理由は、聴けば分かる、聴かないと分かんない、ピタット……あ、もういいですか。

 「時には娼婦のように」は、78年に発表されたシングル。作詞家として名を馳せるなかにし礼が、ここでは作詞のみならず作曲まで手がけている。

 元々、なかにし自身がシンガーソングライターとしてレコーディングしたアルバム『マッチ箱の火事』の収録曲で、シングル自体もなかにしと黒沢の競作として同日に発売された。

 その歌詞は、なかにし礼以外には綴りようのない淫蕩の美学に満ちている。

 ちなみに、20年ほど前、渋谷の24時間営業居酒屋「山家」で夜ごと飲んだくれていた頃の筆者とその周辺は、戯れに「今こそセンバツ入場行進曲にすべき名曲」を選考していた。

 その結果、断トツの1位に選出されていたのが「時には娼婦のように」である。

 疑問など持たないでいい。何らかの手段でこの楽曲を耳にすれば、俺の言っている主旨に痛いほど膝を打っていただけることだろう。これほどマーチングに向いた楽曲はそうそうない。

うららかな春の日、「時には娼婦のように」に合わせて高校球児たちがはつらつと行進する様子を、俺はいつも夢想している。まあ、「娼婦」という歌詞が登場する時点でその可能性はゼロだと思うが。そういや、宇多田ヒカルの「First Love」が行進曲として採用された折は、最後のキスはタバコの味がしたという意味の歌詞に対し、少なからぬ批判が寄せられたものだ。
うららかな春の日、「時には娼婦のように」に合わせて高校球児たちがはつらつと行進する様子を、俺はいつも夢想している。まあ、「娼婦」という歌詞が登場する時点でその可能性はゼロだと思うが。そういや、宇多田ヒカルの「First Love」が行進曲として採用された折は、最後のキスはタバコの味がしたという意味の歌詞に対し、少なからぬ批判が寄せられたものだ。

 そして俺は、カラオケボックスに赴き、「時には娼婦のように」を高らかに熱唱し、歌詞と歌詞との合間に、「宮城県代表・仙台育英高校! 福島県代表・聖光学院高校!」などと叫ぶのである。

 よく考えるとセンバツは都道府県代表として出場するわけではないような気もするが、まあ細かいことは気にしなくていい。

 そんな風に思いながら、レモンサワー片手に、「ジョイサウンド」渋谷南口駅前店の朝は白んでいきます。

そしてこちらが「ゆかいなじいちゃん」。陽気かつ軽快なカリプソの曲調であるが、それに反し、PVはといえば、90年代のゴアトランスのパーティでよく流れていた映像を彷彿とさせるサイケデリックな仕上がりとなっている。アミガで作ったんじゃないかとすら思わせる。必見。
そしてこちらが「ゆかいなじいちゃん」。陽気かつ軽快なカリプソの曲調であるが、それに反し、PVはといえば、90年代のゴアトランスのパーティでよく流れていた映像を彷彿とさせるサイケデリックな仕上がりとなっている。アミガで作ったんじゃないかとすら思わせる。必見。

 さて、もう一人、GSスタジオのCMに出演していたタレントが、元ずうとるびの江藤博利である。

左上が江藤博利。その右隣が「笑点」で座布団を運んでいる山田隆夫である。そもそも、ずうとるびと自体が、かの番組の“ちびっ子大喜利”に出演していた子役たちによって結成されたグループなのだ。
左上が江藤博利。その右隣が「笑点」で座布団を運んでいる山田隆夫である。そもそも、ずうとるびと自体が、かの番組の“ちびっ子大喜利”に出演していた子役たちによって結成されたグループなのだ。

 数年前、田辺誠一の描くプリミティブなイラストがちょっとしたブレイクを果たした時、俺は思った。

 これがこんなに持て囃されるなら、江藤博利画伯が「三波伸介の凸凹大学校」で披露したドローイングの数々は、今こそ再評価されるべきであると。

 江藤作品は、今こそLINEスタンプなり何なりの形で復活すべきである。そしたら俺、いくら出しても買うよ!

 ……とか何とか威勢のいいこと言って、すでに売られていたらすみません。うーん、100円までだったら購入を検討します。

江藤博利の今のところの最新音源と思われるのが、江藤博利&林寛子としてのシングル「ラブリーボーイはみかん色」。林の「素敵なラブリーボーイ」(この曲は後に小泉今日子がカバーしたことでも知られる)とずうとるびの「みかん色の恋」を、意味としてマッシュアップしたデュエット曲である。なお、林寛子の前夫は黒澤明の長男である黒澤久雄。どこまで行ってもクロサワから離れられない記事である。
江藤博利の今のところの最新音源と思われるのが、江藤博利&林寛子としてのシングル「ラブリーボーイはみかん色」。林の「素敵なラブリーボーイ」(この曲は後に小泉今日子がカバーしたことでも知られる)とずうとるびの「みかん色の恋」を、意味としてマッシュアップしたデュエット曲である。なお、林寛子の前夫は黒澤明の長男である黒澤久雄。どこまで行ってもクロサワから離れられない記事である。

 そろそろ締める。

 「とことん」の一語から脱線を続け、当該号の内容については今に至るも何も言ってないわけだが、これ以上駄弁を垂れ流しても誰も読まないであろう。いいよ、もう! 帰るから!

 とにかく、CREA4月号「春こそ、とことんスキンケア。」をぜひともご購入ください。
 
 別れのあいさつの前に、「時には娼婦のように」と「ゆかいなじいちゃん」を並べておこう。

実際に並べてみると、文言だけの時以上にインパクトが強い。
実際に並べてみると、文言だけの時以上にインパクトが強い。

 ということで、(安い笑顔をせいいっぱい浮かべながら)カラオケGSスタジオで、待ってます!

ヤング(やんぐ)

CREA WEB編集長。先日、会社のエレベーターに乗り込んだ直後、ふと大川栄策さんが出演する「スターどっきりマル秘報告」のVTRを思い出しひとりニヤニヤしていたら、次のフロアでドアが開いて社長が入ってきたよ。

Column

CREA WEB編集室だより

このコラムでは、CREA WEB編集室の日常を彩るよしなしごとを報告しつつ、CREAおよびCREA Travellerのプロモーションに励んでいきます。紀尾井町から、さわやかな風をあなたに。

2019.03.28(木)
文・撮影=ヤング
写真=下井草 秀、文藝春秋