仕事や人間関係など、現代社会は女性のカラダを知らず知らずに蝕むストレスがいっぱい。健康を保ち、元気に生活するためのヒントをお伝えします。


副交感神経が低下する
30代後半からケアを

 手足の冷えや寒さがつらくなる季節になった。

 「猛暑の夏から急に肌寒くなった2018年のような気候だと、自律神経のバランスが乱れやすく、体調を崩す人が多くなります」と、自律神経の研究をされている小林弘幸先生。

 自律神経は、私たちの身体機能をコントロールする大切な役割をしてくれている。体温を一定に保つこと、血液の循環、免疫、エイジングにも影響があるという。

「自律神経には、交感神経と副交感神経がありますが、そのバランスが大切です。それぞれどのくらい働いているかは、脈拍と心拍を測ることで数値化でき、その数値が同じくらいならバランスが整っているということです。寒い冬は、身体がこわばり緊張した状態で、交感神経が優位になっています。加えて男性は30代に入ると、女性は30代後半から副交感神経が低下しはじめる年代です。このときに気付いてケアをしなければ、自律神経の機能は低下していきます」

 心臓から身体全体に血液を運んでくれている血管は、交感神経が優位に働いているときに収縮し、副交感神経が優位に働いているときは拡張しているのだとか。

「交感神経と副交感神経がバランスよく働いていれば、血管が交互に動き、末梢の毛細血管にまで血液が行き渡るのですが、交感神経が優位に働いていると、血管が収縮したままとなり、血流が滞り、身体全体に血液が巡らなくなります。自律神経をコントロールすることが、冷えの根本的な改善につながります」

 小林先生は、血行を改善するためには、お風呂などできちんと温まることも大事だが、交感神経と副交感神経のバランスを整えるケアをしてほしいという。

「それには、腸内環境を整えること、ヒーリング音楽でリラックスすること、ゆっくりとした運動を続けること、この3つが大切です。腸と自律神経も相互に作用しています。便秘などで腸内環境が悪くなると、副交感神経が低下し、自律神経のバランスが悪くなります。ヨーグルトなどの乳酸菌やみそ汁などの発酵食品、食物繊維を摂るようにしましょう。食物繊維が摂りにくい場合、私はサプリメントで補います」

 研究室で行った測定では、528Hzの周波数の音楽が、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌を促すという結果が出た。オキシトシンは、出産のときに子宮を収縮させて分娩を促したりする女性特有のホルモンだが、自律神経のバランスアップにも効果的なホルモンだ。クラシックや自然の音などさまざまな種類のものがあるので、お気に入りを見つけてみよう。

「今回紹介した運動の“両腕の投げ上げ”は、呼吸をしっかりしながら行ってください」

 さらに、緊張やストレスがあると、自律神経のバランスが崩れ、血流も滞る。

「普段の生活でも、とにかくゆっくり動き、時間に余裕をもって行動することです」

2019.01.09(水)
Text=Kaoko Saga(Lasant)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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