クレオパトラとカエサルも訪れた
生者の都の神殿
一方のナイル川の東岸は“生者の都”と呼ばれ、神々を崇め、国の安定と繁栄を祈る場所だった。
そんな東岸のハイライトは2つの神殿。エジプト最大級の「カルナック神殿」と、目下、修復作業中のスフィンクス参道で結ばれた「ルクソール神殿」。3,500年ほど前の古都テーベの隆盛を、圧倒的な迫力の遺跡が今に伝える。
カルナック神殿はアメン大神殿を中心に、いくつかの神殿や礼拝堂からなり、その周囲は5キロに及ぶ。数代のファラオが増改築を重ね、かかった年月は1,500年間とも2,000年間ともいわれている。
最大の見どころは、国家最高神のアメン神に捧げたアメン大神殿。
随所にラムセス2世の巨像やセティ1世のレリーフ、ハトシェプスト女王のオベリスクなど、聞き覚えのあるファラオが手掛けた遺構があり、まるでオールスター的賑わいだ。
中でも圧倒されるのが、直径3メートルもの石柱が134本も並ぶ大列柱室。
高さ15メートルのつぼみ(未開花式)のパピルス柱が並ぶ中、中央通路の両脇の12本のみ、高さ21メートルと一段高く、パピルスの花が開いた(開花式)デザインになっている。
これはパピルスが繁茂する原初の海を表しているのだとか。天井を見上げれば、色鮮やかなレリーフが残っていて、かつての華やかな大神殿の様子を彷彿とさせる。
2018.11.22(木)
文・撮影=古関千恵子