世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。
第188回は、小野アムスデン道子さんが歴史あふれるチェコの2都市を巡ります!
ポップアップマーケットが楽しい!
![おいしいエスプレッソ・バーでは、朝から地元のママ談議。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/9/-/img_c9fcec62cc8af62533b191924327ab89135708.jpg)
チェコ共和国の首都プラハには、10世紀のロマネスクから始まって近代のキュビズムや現代までの美しい建物が展覧会のように並ぶ。ユネスコの世界文化遺産でもある歴史地区をそぞろ歩くだけで、その街並みに見とれてしまう。
そんなプラハの街の美食巡りツアーに参加、そして、世界で最も飲まれているピルスナースタイル・ビールの元祖「ピルスナー・ウルケル」の醸造所を訪ねて金色のビールを味わった。まさに食いしん坊の旅を紹介する。
![プラムジャムを挟んだブフタは“かわいいお嬢さん”という意味だそう。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/3/-/img_533339d6542a2dafaccb15252ae87149160911.jpg)
4時間でプラハの美食スポットを5、6カ所巡る美食ツアー「テイスト・オブ・プラハ」のスタートは、「エマ・エスプレッソ・バー(EMA espresso bar)」から。ここで一杯の香り高いコーヒーと、ブフタという菓子パンを堪能。これは、おばあちゃんが作るチェコの伝統的なおやつで、優しい味。
「テイスト・オブ・プラハ」は、食べ物が大好きな異業種出身の6人が集まって運営しており、全員がガイドでもある。
![チェコの食の変遷を熱く語る「テイスト・オブ・プラハ」のマーティンさん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/e/-/img_7ec1c4ff7107171a929ef5a0dc1dc5fa228390.jpg)
この日、来てくれたマーティンさんもプラハ生まれ。6歳の頃に家族でオーストラリアに渡り、心理療法士になってプラハに戻った。その後に精肉店に転職し、今はこの仕事という異色の経歴で、おいしいものへの愛情と造詣は限りなく深い。
チェコは、共産主義時代に食べ物が標準化されたことで味覚の質が落ちてしまったが、4、5年前から若手シェフがおいしいものを作るようになってきた。その試みは、面白いことに、共産主義時代以前のおばあちゃんのおいしい料理を復活させることでもあったそう。
![コンテナのシンプルな造りだが、どこもオーガニックやローカルへのこだわりがある素敵な店ばかり。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/a/-/img_5aa711323cde45a80fd0b2061a873021159091.jpg)
次は、コンテナで造ったお店が集まるポップアップマーケット「マニフェスト(Manifesto)」へ。ここはプラハ・マサリク駅の近くにあり、2年後にはあのザハ・ハディドが設計した商業地区ができる予定の場所だが、それまでの期間限定で、お洒落な飲食店やローカルプロダクツを売る店が集まっている。
右:チェコ人の好きな黒パンに具材を目の前でのせて出すオープンサンドイッチのお店。
ここで味わったのは、クライダというチェコの伝統的なスープ。ポテト、マッシュルーム、卵、クリームでできた熱々のスープは、寒いチェコの冬にぴったり。酢と砂糖をちょっぴり足していただく。
右:チェコ人は、肉が好き。これに、さらに豚バラ肉のローストも出て来る。
続く「カンティーナ(Kantýna)」は、精肉店の3代目がオープンしたレストランで、保存料を使わずスモークしたソーセージや新鮮な肉の味が生きるタルタルステーキに、パンやチェコのポテトパンケーキが盛り合わせで出て来る。
![泡がクリーミーなピルゼンの黒ビールがぴったり合う。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/a/-/img_7a18705816ddddd8075a561802a965e0121644.jpg)
2018.08.07(火)
文・撮影=小野アムスデン道子