世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。
第186回は、芹澤和美さんが『赤毛のアン』の島でご馳走三昧の旅を楽しみます。
最高級の牡蠣
マルペック・オイスター
![プリンス・エドワード島でまず食べたいものといえば、フレッシュな牡蠣!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/5/-/img_656e57132d919c503e8f55b9b4acf7fa180860.jpg)
牡蠣にムール貝、ロブスターがとびきりおいしくて、絶景がどこまでも続く島がある。しかも、日本から近くの都市まで直行便が飛び、アクセスがぐっとよくなった。そう聞いて飛びついたのは、カナダ東部にあるプリンス・エドワード島への旅。
この島の名前を聞いて、まっさきに思い浮かべるのが、ルーシー・モード・モンゴメリの長編小説、『赤毛のアン』。ここは名作の舞台として名高いが、実は食の宝庫でもある。
![入り江にカラフルな漁師の家が並ぶフレンチリバー。素朴で美しい島には、景勝地もたくさん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/c/-/img_9cb015e07840682ece78699e56570000220932.jpg)
これまで、プリンス・エドワード島に行くためにはトロントを経由していた。だが、2018年6月、エア・カナダが成田からモントリオールへ直行便を就航させたことで、乗り継ぎ時間が少なくなり、アクセスが飛躍的に便利に。
モントリオールからプリンス・エドワード島へは国内線でわずか約1時間半。ロブスターが旬を迎えた6月初旬、今こそ! と、初フライトでプリンス・エドワード島へと向かった。
![赤い岩と青い海のコントラストが美しいキャベンディッシュビーチ。絶景を眺めるドライブも島旅の楽しみだ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/7/-/img_97b226802fc53670e6bdbd45c218af94163089.jpg)
カナダの東海岸、セントローレンス湾に浮かぶプリンス・エドワード島は、一島でプリンス・エドワード・アイランド州を成し、島といっても、愛媛県と同じほどの面積がある。カナダが自治領として独立する際に建国会議が開かれたカナダ連邦発祥の地としても知られ、歴史も長い。
![シーフードマーケットをハシゴしながら、おいしい牡蠣を満喫。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/8/-/img_485073bbf285f957b6e9ed668f40fea8172625.jpg)
成田を発ち、同日夜にプリンス・エドワード島に到着。翌朝、さっそく向かったのは、牡蠣の産地のひとつ、スタンレーブリッジだ。港には「ギャランツ・シーフード・マーケット」という小さなシーフードショップがあって、店内で獲れたてを食べることができる。
島で獲れるのはマルペック・オイスターという品種。ニューヨークのオイスターバーでは最高級として扱われるブランドだ。
![貝の甘みを感じるマルペック・オイスターは、牡蠣好きを虜にする味。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/-/img_843153fef127caf7c41b2b7d57f13a28177784.jpg)
牡蠣をオーダーすると、トマトベースのカクテルソースやタバスコも用意されるけれど、フレッシュな牡蠣はそのまま食べるのがいい。
レモンをきゅっと搾って口に頬張ると……じゅわーっと広がる磯の香りと、ふんわりとした甘み。それでいて臭みはまったくなし。まだランチ前というのに、白ワインが欲しくなってしまう。
![島でおいしいマルペック・オイスターが食べられるのは牡蠣漁師のおかげ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/6/-/img_c63f803434b2940630513bee63ee0f95189465.jpg)
すぐ近くには、ニューロンドンという別の牡蠣の産地がある。ここで出会った牡蠣漁師のジョージに食べさせてもらった牡蠣もスタンレーブリッジに負けないおいしさだった。プルンとした食感と、濃厚な旨み、しつこくない後味。お腹いっぱいになるまで牡蠣を食べ続けたのは、これが人生で初めてだった。
Gallant’s Seafood Market
(ギャランツ・シーフード・マーケット)
所在地 10056 Route 6, Stanley Bridge, PE
電話番号 0902-886-2716
https://gallantspeifood.ca/
2018.07.07(土)
文・撮影=芹澤和美