アメリカ合衆国西部に位置するコロラド州は、数多くの温泉を有するエリア。そこには、日本の温泉情緒とは趣を異にするユニークなカルチャーが花開いています。雄大なアメリカンロッキーに抱かれた“いで湯の里USA”を、温泉エッセイストの山崎まゆみさんが旅しました。

vol.04 アバランチ・ランチ

牧場主ファミリーが経営する
キャビンに温泉が湧き出た!

クリスタルリバー沿いに掲げられた「アバランチ・ランチ」という赤い看板が目印。

 「アバランチ・ランチ」はグレンウッドスプリングスから車で30分程の所にある。

 オープンした2006年当初は、宿泊できるキャビンのみの施設だった。横を流れるクリスタルリバー沿いには温泉が湧いていたこともあり、新たに源泉を掘削した。

「お客さんはアジアやヨーロッパからも来て頂けてますよ」と笑顔を浮かべるオーナー。
羊やロバ、ラマなどを放牧している牧場がキャビンの奥にある。人懐っこい羊が寄って来た。

 掘る場所を探し当てたのは地元の12人の高校生たち。実はオーナーの身内が高校教師をしていて、生徒たちと共に源泉周辺を調査した。

「冬に調査した時に雪が溶けている場所だったことと、岩の種類を見て、『ここなら温泉が出る』と思ったようです」(オーナー)

 2009年に無事2本の源泉を掘り当てた後、温泉付きキャビンとしての営業を開始。今では大人気の宿泊施設となった。

ソースタブと呼ばれている「源泉風呂」。人の手が加えられていない源泉そのままの状態で入浴できるため、人気がある。
ソースタブのある簡易な小屋。貸切で使うことができる。
ソースタブに源泉が注がれ、そこから温泉を下の露天風呂に流している。敷地内には大小6カ所の湯船がある。
ソースタブから最も近い露天風呂にて。アメリカ人の温泉観を話してくれた夫婦と。

 ここで40代の夫婦、クリスティンとジェフと出会い、お風呂を共にした。二人にアメリカ人の温泉観を尋ねてみた。

 「アメリカ人は温泉に入る習慣はないし、温泉を知っている人も少ないんじゃないかしら。コロラド州は温泉に恵まれています。コロラド出身のジェフが温泉に入る気持ちよさを教えてくれました。いまでは山登りをした後に温泉で疲れをとっています。温泉があれば、私たちは必ず入るようにしています」とクリスティンが話した。

森の中に点在している宿泊棟「キャビン」。
左:キャビンにはリビングにベッド、キッチンも付いている。
右:アバランチ・ランチでいただいたウォーターボトル。

Avalanche Ranch
(アバランチ・ランチ)

所在地 12863 St., Hwy. 133, Redstone, CO 81623
電話番号 970-963-2846
http://avalancheranch.com/

 コロラドの温泉は高所にある場合が多かった。日差しも強いし、乾燥もしている。だからどの温泉でも、みなウォーターボトルを手にして、水分補給しながら温泉を楽しんでいた。

2018.03.02(金)
文・撮影=山崎まゆみ