佐渡の夜
いよいよミステリアスなバスツアーへ!
夜になり、いよいよ「ようま観光バスツアー」へ。集合場所は、「あいぽーと佐渡(佐渡インフォメーションセンター)」の前に設置された、むらさき色にぼうっと光るあやしげなバス停。しばらくすると、おぼろげな光を灯したバスが出現。はっきり言ってちょっと怖い。乗降口のドアが開き、意を決して乗り込むとバスは、行き先を告げることなく、佐渡の町から山野へと向かっていく。
たぬきのしっぽをつけた
バスガイドの先導で
山麓に鎮座する神社の中へ
佐渡の町をしばらく走行すると、鬱蒼とした杉林に覆われた山のまえで停車。そこから先は、たぬきのしっぽをつけた妖しいバスガイドに先導され、参道の石段を一段一段あがっていく。石段の所々にぼんやりと灯る青や白のあかりが、なんとも神秘的。
神域とデジタルを融合した
幻想的な世界
参道をのぼりきると目のまえには、幻想的にライトアップされた能舞台が。能管の奏でる美しい音色が、全体にひびきわたる。
能管の演奏を楽しんだあとは、語り部によって、佐渡に伝わる民話が語られた。
佐渡島は貴族文化や江戸の武家文化、町人文化が融合した多種多様な伝統文化にあふれる島。奈良時代以降、佐渡島は「遠流の島」と定められており、流刑になった順徳上皇や日蓮聖人、室町時代に能楽を大成させた世阿弥が配流され、「貴族文化」がもたらされた。
実際に能が広まったのは江戸時代、初代佐渡奉行の大久保長安が能文化をもたらし、「庶民の能」として浸透したそう。
さらに江戸時代には鉱山の繁栄から奉行や役人たちが江戸から持ち込んだ「武家文化」、商人や漁業者たちが運んできた「町人文化」が融合し、豊かな伝統文化が今も大切に受けつがれているのだとか。
佐渡島は、「舞い倒す(能で身上を潰す)」という言葉があるほど、能と縁がある土地。現在では、数々の創作能の上演など、あたらしい文化創造の場となっている。
語られる民話と連動して、能舞台や杉の巨木へ映しだされる幻想的なプロジェクションマッピングは美しく、迫力がある。この、めずらしい異ジャンルとのコラボレーションは「佐渡島の能」ならではといえそう。
「振る舞い酒」と
「丸干しいか」を味わう
佐渡の大自然の中で伝統文化を満喫したあとは、佐渡の地酒をあじわって。佐渡にある5つの酒蔵、「尾畑酒造」「加藤酒造」「天領盃酒造」「逸見酒造」「北雪酒造」が誇る、人気の地酒を堪能。佐渡の良質な水と米から作られた地酒は評価が高く、日本のみならず、現在では海外進出も進んでいるそう。
11代目が引き継ぐ「塚本こうじ屋」の糀を使用した、特製「甘酒」。口に含んだとたん、糀を感じられて、濃厚でコクのある上品なあじわい。ブレンドした柚子の芳醇なかおりが最高のアクセントに。甘酒な苦手な方でも、これならファンになってしまうかも。
「塚本こうじ屋」は主に、味噌の製造・販売を行なっている老舗のこうじ屋。発酵過程で機械を使用せず、しかも蔵の杉の樽で一年以上寝かせてから蔵出しする、という昔ながらの製法にこだわっているそう。お店の人気の商品「熟成味噌」もおすすめ。
「酒の肴」としてふるまわれた、佐渡の天然海産物「丸中商店」の「丸干しいか」。火であぶった「丸干しいか」は、表面はカリッと香ばしく、ワタの濃厚な旨みが口いっぱいに広がる。スルメとは違い半乾状態のため、ふっくらとして柔らかいのが特徴。
佐渡の魅力をぎゅっと凝縮したような「ようま観光バスツアー」。佐渡の遺産や伝統文化を、いままでにない演出で体験させてくれる神秘的な夜の観光ツアーだった。今夜も島のどこかに「ようま観光」バスが、やってくるかもしれない。
●お問い合わせ
佐渡観光協会
所在地 新潟県佐渡市両津湊353
https://www.visitsado.com/
2017.12.28(木)