Magnificent View #1338
聖イサアク大聖堂(ロシア)

(C)Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 古都サンクトペテルブルクでひときわ存在感を放っているのが、ロシア正教会の聖イサアク大聖堂だ。ドームは100キロ以上の金を贅沢に使った金箔張りで、48本にもおよぶ花崗岩の円柱には精巧なブロンズの装飾が施されている。

 最初にこの大聖堂が建てられたのは1717年だが、落雷による火災で焼失。その後、女帝として権威をふるったエカテリーナ2世の命により再建事業が行われたものの、長く未完のままとなっていた。

 ついに建物が完成したのは、1858年のこと。1818年から40年以上の歳月をかけた、皇帝3世代にわたる大工事だった。

 ようやく美しい姿を見せた大聖堂だが、第二次世界大戦中は、ドームが灰色に上塗りされていたこともある。これは、もとの金色では目立ってしまい、ドイツ軍の格好の標的となる可能性があったためだ。

 歴史に翻弄されたこの大聖堂も、今は平穏な日々を送る。堂内にある約300段の階段を昇って辿り着く展望台は、市内を一望する絶景スポットとしても知られている。

Column

今日の絶景

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2017.10.25(水)
文=芹澤和美