長い伝統を誇るミンサー織りを体験

木陰に立つ美しい竹富の民家「竹富民芸館」。

 朝の水牛車散歩の後、すぐ近くにある「竹富民芸館」で、竹富島の伝統織物であるミンサー織りでテーブルセンターを織らせてもらう。教えてくれるのは、前篇で種子取祭の奉納の踊りを指導していた島仲由美子さん。ミンサー織りの歴史を今に伝える竹富民芸館の館長でもある。

 竹富島のミンサー織りは、5つと4つの絣(かすり)の模様の組み合わせが特徴で、その昔は、島の娘が「いつ(5)の世(4)までも末永く」という思いを込めて織った帯を愛する人に贈ったという。そんなロマンチックないわれを持つ柄なのだ。

足踏みをしながら糸を通していく。集中できる作業が楽しい。

 竹富民芸館には、足踏み式の織り機がずらりと並び、草木染めの糸にこだわって、ミンサー布を織っている。訪れた時には、島仲さんの娘のやよいさんが、ちょうど種子取祭に登場する神様であるミルク様の着物になる黄色の反物を織っていた。

 昔は一家に一台置いていたという手織り機も、今はここ竹富民芸館にあるだけで、島仲さんは、この竹富島の織り物の伝承者でもある。

糸は、福木、マングローブ、藍など、すべて天然の染料で染めている。

 縦の絣の文様部分はあらかじめ出来上がっていて、横糸の地の部分を、好きな色の糸を選んで織っていく。足を踏み替えて糸を通して織っていく作業は単純だが、糸の選び方や織る力の具合でその人の個性が出て、世界で一枚しかない作品が完成する。

こんな素敵なテーブルセンターを、誰でも1時間~1時間半で作ることができる。

 星のや竹富島が開催するこの体験ツアーは、通年で、10:00~12:00および14:00~16:00に行われている(3,000円/要予約)。

竹富民芸館
所在地 沖縄県八重山郡竹富町竹富381-4
電話番号 0980-85-2302

2017.10.22(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵