音楽やコーヒーが重要な要素となる村上作品。知ればより深く楽しめるはず。すべての著作と、インタビューなどを基に、作家本人のポートレートや気になるキーワードとあわせて、「村上春樹を読み解く会」代表の齋藤隆一さんがその魅力を一気に解説します。CREA2017年9月号から抜粋した一部を前後篇でご紹介。
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【O】
OPERA, CLASSIC[オペラ・クラシック]
作中にも数え切れないほど登場する
欠かせない音楽
好きなクラシック音楽は、室内楽、ピアノなどの器楽曲で、これは仕事をしながら聴くことが多いためだそう。オペラも中学、高校時代は興味があって好きだったが、大学に入ってから専業作家になるまでの十数年はお金も暇もなく、無縁の生活に。徐々に余裕が出てきて海外でオペラを観るようになり、熱が復活する。
<Opera>
◆『ドン・ジョヴァンニ』 モーツァルト
魅力的な悪人ドン・ファンが放蕩の限りを尽くし、最後には自分が殺した「騎士団長」の亡霊に地獄におとされるという物語。のちのロマン派の先駆けとなった2幕のオペラで、モーツァルトの最高傑作の一つ。
『モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」全曲』
指揮=ゲオルグ・ショルティ/演奏=ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Decca 4,000円
<Other Classic>
◆「Le MAL du Pays」 リスト
リストのピアノ独奏曲集『巡礼の年』の「第1年:スイス」第8曲。題名は「郷愁」の意。『巡礼の年』は全4巻26曲からなり、作曲家がスイスとイタリアを訪れた際に見聞きしたものの印象を音楽で表現。
『リスト:巡礼の年 全曲』
演奏=ラザール・ベルマン
DG Deutsche Grammophon 2,858円
2017.08.11(金)
文・監修=齋藤隆一(「村上春樹を読み解く会」代表)
撮影=佐藤 亘、釜谷洋史