前々回に特集した、「故宮博物院」へ行くバスが出ている駅MRT士林駅周辺のグルメアドレス。朝ごはんとスイーツに続いて、今回は食事系のおすすめ店を一挙掲載。
大人数でわいわい楽しめるレストラン、ひとり飯にもぴったりなローカル食堂、屋台系を中心としたB級グルメなど、地元の人に愛される名店ばかりを揃えました。どの店も駅から徒歩で行ける範囲内となっておりますので、台北中心部とはまたひと味違った穏やかなローカルムードを堪能しながら、ぜひ食べ歩きを楽しんでみてください。
人数が多い時にぜひ訪れたい
おすすめレストランはこの2店
士林駅2番出口を出てすこし歩くと、芸術性の高い高級火鍋のお店として知られる「寬巷子」があります。現在台北に3店舗ありますが士林店はその1号店です。
各テーブルにはステンレス製のまるでオブジェのような火鍋台が設置されているのですが、これこそまさにアート作品のひとつ。1台なんと日本円で約100万円もするのだとか。この段階で、これから出てくる料理にも期待が持てます。
スープは紅泥小染(特製四川式激辛鍋)、元珠小染(特製台湾式ピリ辛鍋)、白鳳千叟鍋(豚骨と高麗人参と鶏肉の寄せ鍋)の全部で3種類。おすすめは2種類の風味が楽しめる鴛鴦鍋です。白いスープは辛くないので、辛いものが苦手な方でも台湾火鍋を楽しむことができるでしょう。
辛い麻辣スープはなんと23種類ものスパイスを調合しています。丁寧に材料を炒め、調味料を混ぜたあと、一週間ほど冷蔵庫で寝かせるというなんとも手の込んだもの。
スパイスのスープへの抽出方法も他店とはひと味違っていて、専用の鍋の中央に完成した調合スパイスを入れ、そこに熱い生姜スープを注ぐことにより、側面の小さな穴からスパイスのエキスが辛い方の鍋に注ぎ込まれるという仕組みです。
辛いことはもちろん辛いのですが花椒の痺れる辛さがなんともクセになり、本気で箸が止まらなくなる魅惑のスープです。
そして寬巷子の名物といえば、芸術性の高い食材の盛り付け。生け花のような野菜の盛り合わせ「花團錦簇」にバラの花をかたどった豚トロ「玫瑰松板」、かつてイカのこんな美しい姿をみたことがあるでしょうか、と声を大にして言いたくなるような「軟絲」も、ぜひオーダーしていただきたい一品です。
バラ形に盛られた豚トロには卵白をかけてから火鍋に投入。こうすることで形が崩れることなく、まるでスープにバラの花が浮かんでいるように見えます。他店では味わえない特別感です。
ほかにも、魚とエビのつみれにアーモンドを飾り野菊に見立てたような「杏香野菊」や、同じく魚とエビに小豆を加えたつみれを、ユーモラスにアイスキャンデーのように見立てた「枝仔冰」も、見た目だけではなく、素材の良さを味わえる一品です。
正直お値段も高級ですが、値段に見合った心地よいサービスとクオリティの高い味わい。ぜひ一度は味わうべき火鍋の代表店です。
寬巷子
所在地 台北市士林區中山北路五段505巷22號
電話番号 02-2883-1599
営業時間 平日 12:00~15:00/18:00~22:00、休日 12:00~15:00/17:00~22:00
「寬巷子」とは反対側の1番出口を出てすぐの、横断歩道を渡ったところにある広東料理レストラン「士林寶飽煲小館」は、その味の良さとリーズナブルな価格で地元台湾人から絶大な支持を集める人気店です。
1階と2階に座席がありますが、平日でも店内はほぼ満席のため予約するのがベスト。駅を出ると看板がすぐに見えますが、実はそちら側からは入れないので、一本横にある小路から入店しましょう。
店内は地元の方々で賑わうだけありローカルムード満点ですが、しっかり日本語メニューがあるのがうれしいところ。商品名横にハートマークがついているのが、店のおすすめメニューです。注文はオーダーシートに記入式なので、入店さえクリアすれば観光客にも利用しやすいお店です。
こちらで食べていただきたいのは、やはり広東料理の特徴でもある、土鍋に入った「港式仔煲」です。「煲」という文字があれば、それが土鍋料理です。
ご飯はお代わり自由でセルフサービス方式。しっかりと濃い目の味付けなので、ご飯もビールもどんどん進みます。肉、海鮮、野菜料理、あんかけご飯に麺などなどメニューの種類も豊富に揃っています。ぜひ大人数でわいわいと色んな種類を注文してみてください。
士林寶飽煲小館
所在地 台北市士林區福壽街3號
電話番号 02-2831-3481
営業時間 11:00~14:00/17:30~20:00
定休日 月曜
2017.08.08(火)
文・撮影=矢作晃之