作りたて、蒸したて、種類豊富の3拍子

 マレーシアの点心は、驚くほど種類豊富です。蒸し、揚げ、煮こみ、炒めものなど、調理法もさまざまで、毎日通っても飽きません。作りたて、蒸したては当たり前。点心好きのマレーシア人が、日々せっせと食べ歩いて味のチェックをするので、店同士の競争も激しく、工夫をこらしたメニューが次々に登場しています。

ペナンの点心専門店「大東酒樓」。ここでは、海老焼売、ハーガオ(海老蒸し餃子)、フカヒレ餃子、塩卵焼売、ヤム芋焼売、揚げ餃子、湯葉餃子、豚腸粉(チーチョンファン)、チャーシューまん、カヤジャムまん、大根餅炒め、鶏おこわ、粥など、ざっと数えても50種近いメニューがある。
「大東酒樓」の2階の厨房。すべてのメニューをここで手作りし、マヨネーズまで自家製というこだわりよう。毎朝市場から届く海老はぷりぷりの食感。

 この質の高さで、焼売4個で150~200円ぐらいの値段というから、日本や香港に比べたら驚くほどリーズナブル。熱烈に“マレーシアで点心”をすすめるのは、こういうワケなのです。

点心専門店の注文はジェスチャーで!

 さて、日本ではあまり見かけない点心店独特の注文方法を紹介しましょう。

 席に座ったら、まずお茶を選びます。点心に中国茶はマストです。お茶を注いだら、いざ、戦闘開始。店のおばちゃんが、蒸篭を積んだワゴンをおしながら店内をぐるぐる歩いているので、「おばちゃん、こっちきて」とジェスチャーで呼び止めます。

店が混んでいたら、右手を挙げて笑顔で合図。カンのいいおばちゃんは、どんなに遠くにいても、ちゃんと見つけて寄ってきてくれる。

 おばちゃんのワゴンにのっている点心から、食べたいものを「これ!」と指さして自分のテーブルにおいてもらう。注文はそれだけ。実に簡単!

ワゴンはガスボンベ付きの移動式蒸し器になっている。蒸し用、揚げもの用、スイーツ用といくつかに分かれているので、食べたい料理がのっていなくても、あせらないように。

 ときに、おばちゃんが頼んでもいない蒸篭をテーブルにどんどんおくこともありますが、これは食べるように強制しているのではなく、「こういうのがあるよ」と見やすいように並べているだけ。食べないものは「これは要らないです」と戻してもらうようにジェスチャーすれば、おばちゃんは、よっしゃわかった! と蒸篭をワゴンに引き揚げます。そのほか、メニュー表を見て注文したり、紙に書いたりするタイプの店もあります。

 もうひとつ、マレーシアの点心で大事なのは、食べる時間。勝負は朝です。マレーシア人にとって点心は朝食べるもの。家族みんなで、朝ごはんを食べに出かけます。作りたてを好むこともあり、点心専門店のピークは朝8~10時。早起きして出かけましょう。また、ホテルのレストランの場合は、点心はランチタイムのみ。ディナータイムに、点心の提供はありません。

2017.06.29(木)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)