#02 お気に入りのお茶を見つける
鷹匠「chagama」

 茶農家で茶文化にふれたあとは、製茶問屋がオープンした試飲OKのお茶専門店に立ち寄って“マイお茶”をじっくり選んでみては。5月中旬~6月は、八十八夜の新茶をはじめ、新茶が次々と並びはじめる。

約70種類のお茶を試飲して選べる。店内およびプロダクト、ロゴなどのデザインは、サカイデザインアソシエイツがディレクション。

 2017年の5月で3周年を迎えた「chagama」は、静岡の茶市場にほど近い安西で140年にわたり製茶問屋を営んでいるマルモ森商店が「静岡茶の魅力を若い人にも伝えたい」とオープン。気軽に足を運んでもらえるよう、イメージをモダンに刷新。お茶を試飲できるコーナーと、静岡茶を使ったメニューが楽しめるカフェコーナーの2部構成にすることで、よりカジュアルにお茶へアプローチできるよう間口を広げた。

 「お店に立ち、他県からのお客さまと接していると、静岡の人のお茶消費量が群を抜いていると実感します。市内の人は、朝昼晩、飲むのが普通ですから(笑)。毎日飲めるというのは飽きのこない味わいということ。生活に寄り添う“デイリーなお茶”を探すなら、静岡茶が断然おすすめです」と語るのは、店長の森詩緒里(もり・しおり)さん。

 茶葉は生きもの。その年により出来も味わいも異なるが、茶匠によって毎年安定した味が届けられる。その技術やブレンドの素晴らしさは、静岡の茶文化が育んだ賜物だ。

お茶は、知れば知るほど楽しく奥深いという店長の森さん。

 試飲コーナーを設けたのは「急須で淹れるお茶のおいしさ」を知ってもらうためだったそう。土からできた急須の表面には目に見えない細かなぶつぶつがあり、お湯を入れるとそれらが不規則な対流を起こし“味がのる”のだとか。さらに、土のミネラルとお茶のタンニンが結合して、味わいがまろやかになる効果も。

 ベストな温度、とびきりの茶葉、とっておきの急須で淹れたお茶がどれだけ香り高く、甘く淡く奥深いか、一度は経験すべき!

 今回は、自宅でもおいしいお茶を淹れるためのポイントをご紹介。

●Point1
湯の温度は約80℃が理想

chagamaオリジナルの常滑焼の急須は、茶葉と一緒に買っていく人も多い。中は帯網になっているので、茶葉の細かい深蒸しのお茶でも淹れやすい。「白急須」約300ml 2,160円、「白湯さまし」約400ml 1,994円。

 ベストな温度は約80℃。沸騰したお湯を、白湯さましを使って交互に移し替えて温度を下げる。空気にふれるごとに約5℃下がるといわれ、湯気がまっすぐ立ち上らなくなったら80℃のサイン。

●Point2
一回淹れるごとにお茶を出しきる

複数の湯飲みに淹れるときは、味と色を揃えるために“回し注ぎ”するのが基本。

 たいていのお茶は3煎目まで楽しめるように作られている。水分が残らないよう、一回ごとにお茶を出しきって。

山のお茶(左)と里のお茶(右)を飲み比べるのも楽しい。

 茶葉を見せるデザインが斬新! クリアな包装材は遮光技術を施してあり、鮮度はキープされるので安心して。おいしく飲みきれる50グラムと可愛い小ぶりサイズで、少量からいろいろ試せるのがうれしい。ギフトにもぴったり。

左:マルモの定番ブレンド「茶釜」にも新茶がお目見え。まろやかな甘みがありつつ、静岡人の好きな渋みもしっかり感じられるバランスのとれたお茶。静岡茶デビューにおすすめ。「茶釜」50g 540円。
右:人気急上昇中の「つゆひかり」は、お茶の上品な甘みを味わえる。静岡県磐田市向笠新屋「つゆひかり」50g 702
円。

 実はブレンドするのが難しい、お茶とハーブのミックスもこちらの人気商品。それぞれ風味が生きるよう、試行錯誤を重ねたのだとか。

左:「焙じ茶+イチゴ」20g 378円。
右:「煎茶+シナモン」50g 648円。

 隣のカフェコーナーでは、静岡茶を使ったユニークなドリンクメニューがラインナップ。フランス製のエスプレッソマシンで淹れる本格的な「煎茶エスプレッソ」は、新しいティータイムのシーンを創出してくれそう。

シックな色調で統一されたカフェコーナー。お茶請けの甘味もアイデアあふれるものばかり。
左:お茶の甘み、旨み、渋みが凝縮された「煎茶エスプレッソ」324円。
右:ミルクと相性のよい静岡産抹茶を使用した「前茶ラテ」378円。
「煎茶ラテ」はホットも人気。オーダーを受けるごとに点てた抹茶を使う。378円。

chagama(ちゃがま)
所在地 静岡市葵区鷹匠2-10-7
電話番号 054-260-4775
営業時間 10:00~19:00
定休日 月曜(祝日の場合は営業)
http://www.ochanet.com/chagama/

2017.05.20(土)
文=吉村セイラ
撮影=佐藤 亘