マッチョおじさんたちにチャンスが巡る?

山口 でもね。ナイーブ男子がモテるということは、彼らは「反省」をせずにナイーブのままです。そうなると物足りない女子も出てくるので、マッチョ思考のおじさんたちにチャンスが巡ってくるということもセットで起きてくるはずです。僕らはそっち側を進む、で良いんじゃないですかね?(笑)

伊藤  マッチョおじさんなのかぁ、オレって。

山口 気づいていると思うけれど、かなりマッチョだよ(笑)。若者がヤワな分、タフな精神を持っていて、傷つくことを怖れずに、相手の心にも踏み込んでいくおじさんは価値がある。だから、俺達は若い女の子にとって恋愛対象でいられるんだと、まさに空想というか、妄想するのも大事かなと(笑)。

伊藤 そうですね。自分たちはおっさんだから……って男を捨てたって何のエネルギーにもならないですからね。ポジティブ空想して色艶だしていきましょう!

山口 「オトナの空想委員会」というユニット結成ということで(笑)。

伊藤 男たるものモテて損なし、どんどん空想してモテましょう(笑)。僕らのことはさておき、空想委員会の唯一無二の表現方法、男の空想を歌と映像にしていくやり方はすごく面白いと思うので、引き続き期待していきたいと思います。

山口 そうですね。この世界観を続けてほしいです。さて、今回の空想委員会への妄想分析はどうなりますか?

伊藤 数人の友達を搔い潜って彼女と目が合う。その目がなにを語っているか知らない僕は、すこし余裕のある笑顔を返す。彼女も小さな笑顔を返してから周りとの会話に帰ってゆく。小さな嫉妬のような感情が胸の中に蕾をつける。

 彼女とはこのサークルで出会った。仲の良いグループの中にいて一緒に行動することが多いが、特に付き合っているわけではない。二人きりになることがあって、その時に2度キスをして3度目に寝た。飲み会でもLINEのグループでのやり取りでも友達でしかないのに、4度目も5度目も続いた。7度目に恋人でもない二人に終わりがやってくる予感がした。それがついさっきのこと、そしていま彼女は平然と友達として笑っている。僕の胸の蕾は今にも巨大な花を咲かせようと、血液を吸い上げ、心臓を働かせる。僕は全然平気じゃないと、急ぐ心臓が教えてくれて、余裕のあったはずの笑顔は崩れてゆく。

山口 やっぱり、恋愛にナイーブではない、妄想オジサンだ(笑)。マッチョな伊藤涼も、女性には敵わないと思ってるんですね。さすがオトナです(笑)。

空想委員会『色恋沙汰の音沙汰』(「色恋狂詩曲」収録)
キングレコード 2016年12月21日発売
初回限定盤[CD+DVD]1,800円、通常盤[CD]1,200円(税抜)
■空想委員会は、三浦隆一(ヴォーカル&ギター)、佐々木直也(ギター)、岡田典之(ベース)の3人組。2011年のインディーズデビュー後、2014年にメジャーデビューを果たす。ライブのテーマとして「安全かつ健全にはしゃぎ、全員で楽しむ事」を掲げ、学生バンドのみと共演するイベントの開催など、さまざまな企画を行っている。
■「色恋狂詩曲」作詞/三浦隆一 作曲/三浦隆一、佐々木直也 編曲/空想委員会
http://kusoiinkai.com/

【動画サイト】
「色恋狂詩曲」

https://www.youtube.com/watch?v=RA2SDuTdBQ4

2016.12.14(水)
文=山口哲一、伊藤涼