前回登場の松居大悟監督作『アズミ・ハルコは行方不明』で、人生を模索する青年・学役を演じた葉山奨之。朝ドラ「まれ」でヒロインの弟役を演じて注目を浴びた彼が、高畑充希らとの共演を振り返る。

小栗さんになれるんじゃないか?

――役者を目指すことになった、きっかけを教えてください。

 中学1年生のときに、周りの友達が美容師や弁護士になりたいって、将来のことを考え始めたんです。それで自分も考えなきゃマズいと思ったんですが、漠然とサラリーマンになりたくないなと。小さい頃から映画やドラマが好きだったこともあり、役者に憧れるようになりました。

――それで『クローズZERO』の小栗旬さんに憧れ、中学3年生の時に小栗さん所属の事務所(トライストーン・エンタテイメント)のオーディションを受けられたそうですね。

 小栗さんは「ごくせん」などで、もともと好きだったんですが、中2のときに『クローズZERO』を観に行って、小栗さんみたいになりたい、いや、なれるんじゃないか? と勝手に思い始めたんです(笑)。それで事務所を調べたら、ウチの近所だったこともあって、「ひょっとしたら、会えるかも?」って、事務所の近所をウロウロしてました。その後にオーディションを受けました。

――その後、11年に「鈴木先生」で俳優デビューするまでのあいだは?

 事務所に入っても、芝居について何も分からなかったので、最初の1年間は作品のオーディションも受けることなく、事務所の演技レッスンを受けていました。社長が直接教える社長レッスンというのもあって、そこでは何回も泣かされました。でも、楽しさの方が強かったので、そこでやめたいとは思いませんでしたね。

2016.12.09(金)
文=くれい響
撮影=深野未季