今年の春、鎌倉へ越してきたパーティー料理研究家の青海七生さん。幼い頃から家族旅行で葉山を訪れるなど鎌倉には馴染みがあったが、「住む」決意をさせたのは、料理を学んだ南仏・ニースと近しい、鎌倉の“食環境”だという。そんな青海さんが、文字通り足で探したお気に入りのお店をご紹介。

vol.03/青海七生さん(パーティー料理研究家)

ニースと鎌倉、自然と街が近い暮らしを求めて

青海さんが主宰する料理教室「BRUNCH」も、鎌倉へ場所を変えて継続中。朝、レンバイでは鎌倉野菜、近くの漁港では新鮮な魚が手に入るので料理のレパートリーも増えたという。鎌倉観光をかねて受講するなど新しい生徒も増えているそう。

 新しい環境で新しい店探し。越してきたばかりのときは鎌倉在住の友人におすすめを聞くことが多かったが、最近は趣味のウォーキングの最中に見つけるのが楽しみだとか。

「ウォーキングが好きなので、ダンベルを両手に握りしめながら、海や山、街を散策するのが日課です。こんなところに? と驚かされるような狭い裏路地にカフェやお菓子屋さんがあったり、ひっそりと佇む緑豊かなお寺を偶然見つけたり、毎回小さな新しい発見があります。越してきてびっくりしたのは鎌倉のお店は閉店時間が早いこと。最初は不便だと感じましたが、今ではオンオフの切替えができていいと思います。引っ越して半年が過ぎますが、気になるお店が後をたちません。今後は鮨屋の開拓が目標! 漁港周辺のお店もチェックしてみたいですね」

 南仏・ニースで料理の勉強をしていた青海さん。朝、市場へ向かい、自分で目利きし仕入れた食材をその日のメニューとして提供する。そんな自然に恵まれた土地、生産者と料理人との距離が近い“食環境”も、鎌倉に美食のお店が集まる理由だと考える。

「鎌倉の魅力は〈山と海〉〈市場〉〈街〉が、近いところです。その恩恵を授かるには移住するのが一番! と思いました。この環境は、料理の勉強をしていた南仏のニースと同じ。ニースとイメージが重なったことも鎌倉への移住を決めた理由の一つです。最近知ったのですが、ニースと鎌倉は姉妹都市だそうです! 街の雰囲気もどことなく似ています。海沿いをジョギングしている人、真っ黒に日焼けをした子供たち、サーフボードを抱え自転車で海に向かう人、仲良く海沿いを散歩する熟年夫婦……自由で伸び伸びとした雰囲気などがそうですね」

 最後に、第1回の古澤さん、第2回の島津さんと同じく「もし、鎌倉の観光大使になったらどこを案内しますか?」と聞いてみたところ、これからの季節にぴったりの散策ルートを教えてくれた。

「私の好きなウォーキングコースはいかがでしょうか。スタートは鎌倉駅。そこから、妙本寺、鶴岡八幡宮、化粧坂切通し、葛原岡神社、浄智寺、亀ヶ谷坂切通しに立ち寄り、鎌倉駅に戻ります。ゆっくり歩いて約1時間半。静寂と木々に包まれるお寺巡りを挟むのがポイントです。その日の気分で、陶芸や写経などの体験を取り入れるのもおすすめ。道中にあるパン屋、お惣菜屋などで食材を買い込み、緑あふれる葛原岡神社でピクニックをするのも最高です!」

青海七生/Nao Aoumi
パーティー料理研究家。ニースの星付きレストランで厨房研修やアルバイトをしながら南フランスの家庭料理教室へ通う。その後パリの料理学校へ。帰国後フランス企業に勤めた後、ホームパーティー向け料理教室を主宰。料理専門誌や女性誌にレシピを提供するなど幅広く活躍中。ワインエキスパート、チーズプロフェッショナルの資格を取得。2016年より鎌倉在住。
http://ameblo.jp/brunch-nao/

2016.11.19(土)
文=吉村セイラ
撮影=深野未季