自家採取の天然酵母で作るパン
永富さんは、自店のオープン以来、自家採取した天然酵母を使っています。「自分の味が出せる。移転してから、自家製酵母が安定してきた」とにっこり。
火・木・土曜は全粒粉と国内産の小麦粉を使った惣菜パンが、また、水・金・土曜はフランスパンがお店に並びます。
さらに、火曜には「カイザーゼンメル」、水曜は「フォカッチャ」、木曜と土曜には、ルヴァン種を使い加水量の多い「パン・ド・ロデヴ」と、曜日毎に異なるパンが焼かれるので、お客はそれぞれを目当てに買いに訪れるそう。
取材で伺ったのは、フランスパンの日でした。
何といっても、直径20センチ以上ある大きなサイズの「パン・ド・カンパーニュ」が目を引きます。このライ麦の全粒粉と小麦全粒粉を25%、小麦粉を75%使用したルヴァン生地は「成形の仕方で食感が変わってきます」と永富さん。
両端を細くした「ルヴァン」と比べると、細長い「ルヴァン ロング」はクリスピーで、輪の形をした「ルヴァン クーロンヌ」は軽やかな食感。「パン・ド・カンパーニュ」は皮が分厚くてゴリッとしていて、中はふんわり。それぞれで、外皮と中身の生地の食感の違いが楽しめます。
「ルヴァン クリームチーズ」は、中にクリームチーズがたっぷり。ワインと一緒に味わいたい。
フランスパン生地は、国産小麦粉90%にライ麦粉10%を加えて、風味豊かに焼き上げています。
「他にない、ひとクセあるパン。心に残り、忘れられないパンにしたいから」
「バゲット」は、カンパーニュと同じように、外皮がやや分厚目。ゴリッという食感で、噛むと粉の風味が広がり、印象に残る逸品。中の生地は、むっちりではなくさっくりとした歯触り。丸く焼いた「ブール」もあります。
フランスパン生地を使って、様々にアレンジしたパンが楽しい。
細長い「オニオンベーコンスティック」、2種のレーズンのほんのりした甘みの「ペイザン」、中にチーズをたっぷり包んだ「チーズフランス」、ベーコンの旨みとペッパーが効いた「ハーブフランス」。「オレンジ・フランボワーズ・フロマージュ」は、ベリーとオレンジのコンフィを練り込んだ生地でたっぷりのクリームチーズを包んでいます。サクッとした生地は口溶けがよく、後口もすっきり。どれもワインのお供にぴったりです。
2016.09.25(日)
文・撮影=そおだよおこ