『シン・ゴジラ』の首相は笛作りの達人だった

株式会社文藝春秋第7代社長の田中健五。「文藝春秋」編集長時代には、時の首相を退陣に追い込んだ“田中角栄研究”(立花隆執筆)などの特集を世に送った。

 ちなみに、筆者が文藝春秋に入社した当時の社長は田中健五という名前なのだが、俺はこの社長のことを「田中健ファイブ」と呼んでいた。本人を目の前にしてもそう口にしていたのだから、今思えばずいぶん失礼な新人である。とにかく、ベン・フォールズ・ファイブとか、デイブ・クラーク・ファイブみたいでカッコいいと思ったのだ。

 実際に田中健ファイブというグループがあったなら楽しそうだ。ケーナを前面に押し出したインストゥルメンタルバンドだろうか。

 ……いや、待てよ。いっそのこと、ついさっき妄想したように、田中健が5人目の新メンバーとして加わったMAXが、田中健ファイブと改名すればいいじゃないか。安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S改めMAX改め田中健ファイブ。なかなか味わい深いグループ名の変遷である。「TORA TORA TORA」に合わせてケーナを吹く田中健の姿を想像するだけで、胸の奥が熱くなる。

 あまりにも田中健のことが好きすぎて枕が長くなった。いつまで経ってもイケメン同士の仲良しエピソードが出てこないとしびれを切らしたあなた、ここからが本番ですよ!

 田中健のケーナを作っているのが、実は平泉成である。これまで1000本以上を手がけてきたというから驚く。

『シン・ゴジラ』では内閣総理大臣に扮した平泉成。そんな器ではないのに、ひょんなことから首相の座が転がり込んできてしまった凡人の困惑とそれを乗り越える軌跡を見事に演じきっていた。

 ちなみに、1999年に公開された三池崇史監督の映画『DEAD OR ALIVE 犯罪者』において平泉成は警察署長を演じているが、物語とはまったく脈絡もなく署の屋上でケーナを作っているシーンがある。

 哀川翔と竹内力というVシネマ界の2大スターが激突したこの作品のラストは、どうにもこうにも本当に腰を抜かすので、えー、例えば職場のソフトボール大会が雨天で中止になるなどしてぽっかり時間ができた折にでも観ていただきたい。

そういや有吉弘行は、本格的な再ブレイクの前夜、よく哀川翔の物真似をしていたっけ。

 田中健のブログを読むと、久しぶりに平泉成を自宅に招き、ケーナを作ってもらった2015年5月7日の日記にこんな記述がある。「こんな大変な作業を趣味の一環として 20年以上も携わってくださった平泉さんに 僕は大変失礼なことをしたという経緯があり 今回許していただいて新しく作ってくださることになったことは 感に堪えません」。一体どんな非礼を働いたのだろう。妄想がかき立てられる。

 そして、田中健の趣味人ぶりがうかがえるエピソードをもうひとつ。

 弊社こと文藝春秋のはす向かいに人気の某ラーメン屋がある。10年近く前になるのか、この店は開業したその日からすでに行列ができていた。職場の近くだからいつでも来れるし、すいている時を見計らって行ってみようと思っていた俺に、その機会はほどなく訪れた。

 オープンから3、4日目だった。休日出勤で会社に来てみたら、外は大吹雪。こんな日に並んでまでラーメンを食べに来る人も少なかろうと、その店を訪れたら、案の定ガラガラだった。読みは正しかったと内心ほくそ笑みながらカウンターに座り、隣を見ると……そこには、ひとり静かにラーメンを味わう田中健の姿があった。

 開店からまだ数日というタイミング。たまたま通りかかることも少ないだろう立地。そして、猛吹雪という悪天候。こんな時に、この店にやって来る田中健は、相当のラーメンマニアだ!

 ちなみに筆者は、この店の前にベッキーが並んでいたのを2度ほど見かけたことがある。キャスケットのような帽子を目深にかぶり、目立たぬようにしていたが、あれは紛れもなくベッキーだった。いかにもタレントの移動に使われていそうなアルファードだかヴェルファイアだかのミニバンの後部座席から降りてきたこともその傍証となろう。俺がたまたま見ただけでも2回も来ているのだもの、ここのラーメンがよほど好きなんだなと思ったものだ。

同じ店を贔屓にする2人に共演歴などの接点はありやなしやと思い調べてみたら、何と、田中健とベッキーは誕生日が一緒だった。どちらも3月6日。蛇足だが、筆者は新加勢大周こと坂本一生さんと生年月日がまったく同じです。

 が、例の一件があったわけだから、彼女がわざわざ自分からセンテンススプリングの目の前にあるラーメン屋にやって来ることは金輪際ないだろうな。ベッキー……。

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2016.09.04(日)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋