vol.09 春日温泉

軽井沢から車でほんの1時間

里山に囲まれ、周囲は畑と休耕地が広がる中に、ぽつねんと建つ一軒家。

 これから夏に向かい、軽井沢に行かれる方は多いだろう。軽井沢には多くの優れたフレンチやイタリアンがあって、食べ歩く楽しみは大いにある。

 しかしもう少し足を伸ばしてはいかがだろう。目指すのは、軽井沢から車で1時間、佐久市春日温泉にあるフレンチレストラン「さんざ」である。

店内からは、近隣の里山や自前の野菜畑、小麦畑が望める。

 「さんざ」は以前、近く(といっても車で10数分かかるけどね)で、「le・さんざ・ぶりゅ」として営業していたが、自前の畑などの環境をより求めて、奥地へと移転した。

庭を駆け回る鶏たち。

 山間の一軒家で里山に囲まれ、周囲は畑と休耕地が広がる中に、ぽつねんと一軒家が建っている。当然周りに民家はない。

 訪れたのは昼だったが、緑に囲まれたレストランは、建物自体が健やかな空気に包まれて清々しい。店内からも近隣の里山や自前の野菜畑、小麦畑が望め、庭では、鶏が駆け回る。

 野菜を中心にした料理で、近隣及び長野の優れた生産者たちの食材のみを使って作られる。

 突き出しは「ニラのスープ」。嫌味のない、純粋な青々しいニラの香りだけが抽出されたスープで、飲んでいるだけで体が浄化されていく。

自家製の小麦から作られるパン。

 運ばれたパンは、自家製の小麦から作られ、細長い方は珍しい木の芽入りパンで、香りのアクセントが面白い。また同時に自家製菜種油も添えられる。

朝収穫したアスパラガスは4種の調理法で。

 朝収穫したというアスパラガスは「生、茹で、ロティ、フリット」という四種の調理法。薄切りの生はみずみずしく、茹でたものは優しい甘みの均一感がある。ロティは、よりミネラルのある根元が複雑な味わいとなって、面白い。そしてフリットは、アスパラの味が凝縮されて、甘みが濃い。

 続いて「アスパラガスの軸のフラン」。柔らかい香りが口の中に広がって、笑みがこぼれる。

2016.06.02(木)
文・撮影=マッキー牧元