航空券やツアーの価格も急激に下がった香港

人数が集まれば豚の丸焼きもオーダーできる。もちろん日本で食べるよりもはるかに安い(福臨門魚翅海鮮酒家)。

 さて、今回訪問したのは、香港島の湾仔にある福臨門魚翅海鮮酒家(Fook Lam Moon)と九龍の佐敦にある天香樓(Tien Heung Lau)。実際に香港で料理を味わううえで気をつけたいことは以下のとおり。

(1) 同行者はなるべく増やそう
 これは香港にかぎった話ではないが、中華圏では大人数でシェアすることを前提とした料理は少なくない。今回福臨門では豚の丸焼きをオーダーしたが、これは7~8名集まらないと食べきれない。そこまでいかなくても1~2名で行くより4~5名と同行者が増えるほど、食べられる料理の幅と種類がかなり広がる。

 ほかの行き先はさておき、香港だけはできるだけ友人をつのって一緒に行くように試みたい。ただし、1~2名のときもそれなりにおいしいものにありつけるのが香港のよいところ。

(2) 香港に行く前にお店を決めてしまおう
 香港島サイドと九龍サイドでは行き来も不便なので、まずどちらをベースにするのかを決めてからお店を絞り込むという方法も。昼食と夕食の間隔はできるだけ空けた方がよい。

(3) できれば出発前に予約をしてしまおう
 ミシュラン掲載店などのなかには、直前では予約がとれない店も少なくない。また、一定のランク以上のホテルに宿泊する場合、出発前にコンタクトをとればコンシェルジュが予約を代行してくれる。

 今回利用した天香樓のように、香港では広東語しか通じない店も多い。コンシェルジュに予約を頼むと心強いし、予約の日時や人数などのミスの可能性が低くなる。

(4) 事前オーダーに挑戦しよう
 高級料理店には、豚の丸焼きのように、事前オーダーのみの特別料理もある。この場合、お店との直接相談となり、ハードルが高くなるが、香港に何度か通って、その店の料理に慣れたらチャレンジする価値はある。次回のオーダーのためにメニューの写真を撮っておく人もいる。

(5) B級グルメと組み合わせてみよう
 たとえばランチで高級店に行くなら朝はホテルでのビュッフェではなく、粥や麺の一品物を出すお店にしてみる。また、茶餐廳(チャーチャーンテーン。香港に多い、喫茶や軽食を出す飲食店)は香港市内のどこにでもあり、営業時間も早朝から深夜までの店が多い。

 お昼をしっかり食べた日は夜をこのようなお店で済ますなど、おなかのすき具合の調整役としても使える。一人旅などで、滞在中、たとえこのようなローカルフードだけでも食の豊かさが楽しめるのが、食べるのが好きな人が香港に引きつけられる理由の一つといえるだろう。

 現地に行けば行くほど、その奥深さを感じることができる香港の食。LCCの就航にともない、この数年で航空券やツアーの価格も急激に下がりました。この記事を参考にして、ぜひ香港美食旅行にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

橋賀秀紀(はしが ひでき)
トラべルジャーナリスト。筑波学院大学非常勤講師。東京都生まれ。著書は『エアライン戦争』(宝島社)など。海外渡航歴は200回以上。執筆、講演の依頼、内容の問い合わせは、CREA WEB編集室まで。

 

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2016.05.30(月)
文・撮影=橋賀秀紀