神戸市東灘区の住吉は阪神間屈指の高級住宅街として知られる街。エリアを流れる住吉川沿いには、文豪・谷崎潤一郎が住んだ建物「倚松庵」が移築、公開されています(2016年3月現在は改修のため休館中)。また、海側には、灘五郷として知られる酒処、魚崎郷、御影郷が広がっています。

 「茶藝館 甜(さげいかん てん)」は、そんな住吉エリアにある、台湾茶と点心が楽しめるお店。JR神戸線住吉駅から、南東へ歩くこと約5分。広い中庭に面した建物の一角にあるお店は、赤いテントが目印です。

入口横にはメニューの立て看板が。

 店内に入ると、正面には、バックの棚に台湾茶を入れた缶が並ぶカウンター席。ソファ席もあり、ゆったりとした雰囲気。袋に入った台湾茶が並ぶコーナーも注目です。

ゆったりと落ち着ける店内。

 ご主人・宮田健一さんは、1969年、神戸市出身。華僑の知人に紹介されて、23歳から中国料理店のホール係として働き始めます。その店は、当時、お洒落で大人気の広東料理のお店。宮田さんは働くうちに中国茶や点心に興味を持ち、香港や台湾へ何度も足を運びます。

オーナーの宮田健一さんと美晴さん。

 働く店が変わっても香港へ通い、いつしか、自分で点心を作り、香港の味を再現するようになりました。

 1995年の阪神・淡路大震災で、実家の建築関係の仕事を手伝うようになりましたが、5年が過ぎた頃、「やっぱり点心と中国茶が気になって(笑)」と、再び、中国料理店で働き始めます。その頃からは、香港や台湾だけでなく他の茶産地にも行くようになり、中国茶について知識を深めていきました。

 そうして出合ったのが、台湾茶。

「台湾の産地を巡り、各地のお茶の生産農家さんと親しくなりました」

 そうして、宮田さんは「僕がおいしいと思う台湾茶をゆっくり楽しんでもらえる店を」と、2003年、あえて繁華街ではなく、住宅街である住吉にお店をオープン。台湾茶は個人で輸入して、検疫もきちんと受けています。

おいしいお茶の味わい方を丁寧に教えてくれる。

 お店では、そんなこだわりの台湾茶を、宮田さんが手作りするオリジナルの味わいの点心やスイーツと一緒に楽しめます。

 お茶は、常時26種類余り。すべて台湾のもので、馴染みのある「烏龍茶」から紅茶まで、多彩なお茶を揃えています。

 簡単な説明が書かれたメニューを見ても、なかなか選べません。特徴を詳しく説明してもらい、注文するお茶を決めます。あれこれ、色々迷うのも、楽しい時間。

 「飲んでもらうこと、体験してもらうことが大切。台湾のお茶文化、よいお茶を広めたいんです」と宮田さん。

2016.03.20(日)
文・撮影=そおだよおこ