煎を重ねるごとに変化する味や香りを楽しんで
右:やわらかなお茶の香りに心が和みます
お茶は、セットで出されます。まず茶葉を見て、香りをかいでみる。こぶりな茶壷(ちゃふう/急須)かマグカップに茶葉を入れて、お湯を注ぐといった一連の動作は、宮田さんか奥様の美晴さんが説明してくれます。初めてでも自分でいれて、お茶の香りと味をゆったりと楽しめます。
「それぞれ味も香りも違うんですよ。何煎も楽しめますし、煎を重ねるうちに味や香りが変化します」と美晴さん。色々なお茶を飲み比べてみたくなります。「東方美人」のように、できたてよりも1年熟成させた方がおいしいお茶もあるのだとか。
「自分が訪ねた茶農家さんは、減農薬、有機栽培をして、少量のお茶を家族でていねいに作っています。茶農家さんから預かった貴重な、芸術品ともいえるお茶を、日本でおいしくいれて飲んでもらわないと」と、宮田さんはにっこり。一煎一煎、時間を計ってていねいにいれて。何杯も飲むうちに、口の中に香りが残り、心癒されて幸せな気分に包まれます。
台湾茶と一緒に味わうのにぴったりな点心は、「小籠包」や「海老餃子」「焼売」が定番。どれも、宮田さんがていねいに手作りしています。ひとつのセイロにその3品が入った「蒸し点心3種」が人気。
右:「豚饅」300円。
取材時の「焼売」は、シャキシャキと歯応えのいいクワイとヒジキ入り。「海老餃子」は、モチモチの皮とプリプリの海老の食感が楽しめます。「小籠包」はプルンとしていてジューシー。ボリュームのある「豚饅」も、優しい味わいです。
甘い点心、「カスタード饅頭」や「ココナッツ団子」は、親しみやすいネーミングがされています。
カスタード饅頭は「ふわっふわっ きみちゃん」で、ふわふわ、優しい歯触りで、ほんのりした甘さ。ココナッツ団子は「もちもち ここちゃん」で、中の餡がカスタードやあんこ、サツマイモや紫芋など、時々に変わります。どちらも、おやつにぴったり。緑茶に近い台湾茶にも、烏龍茶にも紅茶にもよく合います。
「台湾でよく使われるラードはなしで作っています」。それで、後口がすっきり。「自分がおいしいと思うように、色々工夫してアレンジしているんですよ」。
2016.03.20(日)
文・撮影=そおだよおこ