大阪市中央区玉造は、かつて仁徳天皇が高津宮を、聖武天皇が難波宮を造営した土地。豊臣時代には、千利休や前田利家、細川忠興らの大名屋敷が並ぶ特別な区域であったといいます。近年は、ケーキショップやパン屋、レストラン、カフェが次々オープンして、大阪・キタやミナミから足を伸ばして訪れる人も増えてきました。

 そんな街に、2013年7月18日にオープンしたサロン・ド・テ『可笑的花』は、「オカシナオハナ」と読みます。

焼きたてのスコーン 1個 330円。

 大阪市営地下鉄の長堀鶴見緑地線玉造駅から北へ徒歩約5分。重厚な木の扉を開けて入ると、店内は意外にシンプル。10席が配されていて、優しくゆったりとした空気と時間が流れています。「スコーンを焼いていたんです」と、甘くて香ばしい香りと一緒に現れたのは、オーナーの工藤和美さん。ていねいにお茶をいれ、おいしいお茶菓子でもてなしてくれます。

「可笑的花」と書いて「オカシナオハナ」。重厚な木の扉が印象的。
中国茶を淹れるオーナーの工藤和美さん。

 工藤さんは、小さい頃から紅茶が大好きで、紅茶の教室に5年ほど通っていたのだそう。ある時、中国茶の授業を受けて興味を持ち、南森町にある中国茶のお店で働き始めます。さらに「もっと学びたい」と別の中国茶の教室にも通い始めました。「友達になった中国・福建省出身の女性がお茶問屋と関係があったり、台湾の茶商のおじいさんと仲良しになって、よく台湾に行くようになったりと、中国茶の世界にもどっぷりとはまってしまいました」。

「お茶とお菓子を楽しめるティータイム屋さんを始めよう!」と決心して、一時住んだことのある玉造でお店を探したと言います。9坪の手頃な店舗を見つけて、大好きな紅茶と中国茶の両方を置くサロン・ド・テをスタート。「中国茶は、ご要望があれば私が何煎もいれてお出しします」とにっこり。大阪の街なかと思えない、台湾の山深くにある茶藝館のような落ち着いた雰囲気に、女性だけでなく年配の男性客もよく訪れるとか。中国茶や中国語を学ぶお稽古サロンも、予約制で開催されています。

左:店内に静かな時間が流れます。
右:茶葉も販売。お気に入りの味を自宅でも楽しめます。

 中国茶は月替わりで7、8種類を用意。「マスカットのような爽やかな水色に、清らかな碧い碧い香り。軽やかな春茶の文山包種」、「熟したブドウのような香り、甘い余韻を残してスルリと消えてなくなる白毫烏龍茶」などと工藤さんがコメントするお茶が、毎月、色々登場します。どれも工藤さんが厳選した上質なお茶。夏はアイスで飲むのもおすすめです。

 紅茶は国産の「べにふうき」という品種を有機栽培して作られた紅茶「妖精の火香」。深い味と香りで、のどの奥に渋みの余韻を感じる、水色も鮮やかな紅茶です。ダージリンのオーガニックティーもあります。

 カルダモン、シナモン、クローブなどのスパイスをきかせたミルクティー「チャイ」も、工藤さんのお気に入り。カフェオレ用のボウルでたっぷり楽しめます。

チャイとキャロットジンジャーケーキのエピスセット1,100円。

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2014.06.22(日)
文・撮影=そおだよおこ