テーマパークさながらのパゴダは必見!

民族衣装を着た仲睦まじいカップル。ヤンゴンでは、都会の中のこんな日常風景に、目が奪われる。

 2011年、新政権の誕生により、約50年続いた軍政に終止符が打たれ、民主化が急激に進んだミャンマー。以降、長くベールに包まれていたこの国はその素顔を見せはじめ、旅行先としても人気を集めるように。なかでも、日本から直行便が飛ぶヤンゴンは、大都市ながら治安がよく、かつての風情も残る、注目のデスティネーションだ。

日に日に交通渋滞が激しくなっているものの、優しい雰囲気を残すヤンゴン。かつては首都でもあった、この国きっての大都会だ。

 ヤンゴンのシンボルといえば、パゴダ。これは仏塔のことで、市内にはいくつものパゴダがある。

シュエダゴン・パゴダ。日中の日差しが強いため夜が最も賑わうけれど、青空に映える昼のたたずまいもなかなか迫力がある。

 ミャンマー仏教の総本山でもあるのが、「シュエダゴン・パゴダ」。境内には、高さ約100メートルものパゴダを中心に、大小66のパゴダや仏像、小さな廟が並んでいる。メインのパゴダは7000個を超える宝石がちりばめられた金箔張り。そのゴージャスぶりもさることながら、老若男女が楽しそうに集う様子は、寺院というよりテーマパークのよう。

左:パゴダの前で夕涼みする人、おしゃべりする人、夕飯を食べる人。日没後はたくさんの人が集う。
右:生まれた曜日で自分の神様が決まる「八曜日」。幼い子どもも、神様にお参り。

 参拝者が熱心に祈りを捧げているのは、ミャンマーの伝統暦「八曜日」の神様を祀る像。ミャンマー仏教では、何曜日に生まれたかによって自分の神様が決まる。「月曜生まれは虎・東、火曜生まれはライオン・南東」といったように、各曜日に方角と守護動物があり、水曜だけ午前と午後に区別されるので、全部で8つの曜日があるというわけだ。

ボータタウン・パゴダの内部。迷路のような回廊は壁一面に金箔が張られている。参拝者は、ここで瞑想したり、お祈りしたり。

 仏塔の中が一面金箔張りとなっているのは、「ボータタウン・パゴダ」。ここは2500年前に、8人の僧侶がインドから仏陀の遺品を持ってきたことが起源とされている。内部に神々しく展示されているのは、仏陀の聖髪と聖歯だ。

左:仏陀の聖髪が祀られている場所。その装飾も、すべて金箔張り。
右:境内には、人気俳優が寄進した仏像も。顔はその俳優にそっくりなのだとか。

 キンピカ、豪華なパゴダが多い中、変り種が「チャウッターヂー・パゴダ」。ここは高さ約18メートル、長さ約66メートルという巨大な寝釈迦仏が有名。比較的新しい建造物だが、観光スポットとしても人気を集めている。

寝釈迦の足の裏に描かれている108の絵は、涅槃の世界を表現しているのだそう。

2016.03.25(金)
文・撮影=芹澤和美