現場で生まれるものを求めて、セリフは声に出さず覚える

――エヴァンが放つ「一人じゃない」というメッセージが、今作の主題の一つにもなっていると思います。吉沢さんが、一人ではないと感じられる瞬間ってどんな時ですか?

 我々の仕事は、絶対に一人では成立しない仕事。脚本を書いてくれる人がいて、監督がいて、カメラマンさんがいて、照明さん、録音さんがいて、それに共演者の方々もいて。皆さんがいてようやくできる仕事なので「一人ではない」ことは常に実感しています。

 本当に多くの方々が関わっていますし、自分がカメラやお客さんの前に立つときにはすでに作品は9割完成しているようなもの。だからいい意味で「自分でなくてもいいのでは?」と感じることもあります。それくらい我々俳優がやれることって、本当に限られたことだけなんですよね。みなさんが作ってくれた土台に立っているだけなのに、その作品の「顔」として扱ってもらえる。だからこそ勘違いしちゃだめだな、と常に意識するようにしています。

――9割完成していたとしても、やはり現場での反応で生まれるものもありますか?

 そうですね。こちらが想像していたものとは違うものが出来上がっていくのも、演じることを楽しいと感じる理由の一つです。なので、セリフを覚える際になるべく声に出さないようにしているんです。声に出す場合は、感情を入れずにただただ読む。フラットな状態で現場にいくことで、相手に合わせて色々試すことができるので。

 最初から演技プランを固めて行ってしまうと、何が正しいのか、正しくないのかの答え合わせになっちゃう気がするんですよね。その場で正解を見つけようとすることで、より多くの可能性に触れられます。自分から先に答えを出してしまうと、狭い範囲でのやりとりになってしまうので。

 舞台作品は、稽古で正解を見つけていって、最後の公演まで何度も何度も繰り返し演じていくので、磨ききったものを見せている感覚です。舞台に立つとすべての角度から見られるから、かっこいいとかかっこ悪いとかもなくなっていきますし。本当に嘘がつけない世界だからこそ、緊張するし鍛えられます。

吉沢亮(よしざわ・りょう)

1994年2月1日生まれ。東京都出身。近年の代表作は、『キングダム』シリーズ、『東京リベンジャーズ』シリーズなどに出演。ドラマは大河ドラマ『青天を衝け』連続テレビ小説『ばけばけ』など。映画『国宝』(李相日監督)が高い評価を得ている。公開待機作に『キングダム 魂の決戦』がある。

ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』

トニー賞6部門に輝いた大ヒットブロードウェイミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』が、初演から10年を経てついに日本上陸。社交不安障害を抱え孤独な日々を送る主人公のエヴァン・ハンセンがクラスメイトの死ととっさについた嘘をきっかけに、本当の自分に気づくまでの過程を描く。

公演日程
2026年7月25日~8月23日 東京・EXシアター有明(東京ドリームパーク内)
8月29日~9月6日 愛知・御園座
9月10日~9月21日 大阪・梅田芸術劇場メインホール

出演
柿澤勇人・吉沢亮/安蘭けい・堀内敬子/木下晴香・松岡茉優 ほか(Wキャスト・各役五十音順)

脚本 スティーヴン・レヴェンソン
作詞・作曲 ベンジ・パセック/ジャスティン・ポール
翻訳・演出 小山ゆうな
訳詞 高橋知伽江

主催    ホリプロ/テレビ朝日
企画制作 ホリプロ

https://horipro-stage.jp/stage/dearevanhansen2026

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