仕事も恋も行き詰まる35歳――映画『さとこはいつも』で、主人公・沙都子の揺れ動く心を等身大で体現した有村架純さん。劇中の沙都子はパソコンに気持ちを書き留めていきますが、実は有村さん自身も日頃から「文字を綴ること」で自分自身と向き合ってきたそうです。17歳でデビューして以来、第一線で活躍し続ける有村さんに、これまでのキャリアと“現在地”を語っていただきました。
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「出演したいです」と即答
――長編映画デビュー20周年を迎えた沖田修一監督が、年齢も育った環境も異なる3人の「さとこ」という女性の人生が交差していく様子をオリジナルストーリーで描いた作品ですが、沖田監督といえば、日常の何気ない積み重ねの中から立ち上がってくる、オフビートなユーモアと、人間味あふれる温かさが持ち味ですよね。そんな監督から今回のオファーを受けた時、どう思われましたか。
沖田さんの作品は、俳優としてデビューした頃からずっと好きだったんです。
「いつかこういう世界にいられたらいいな」と、画面の向こうを眺めていました。お話をいただけるとは思ってもいませんでしたので、台本を読む前から、もう心は決まっていました。
「出演したいです!」って、即答に近かったと思います。沖田さんの作品に出られるなら、断る理由がどこにも見つからない、嬉しさしかなかったですね。
――沖田作品の魅力は、どんなところにあると思いますか?
一番は、沖田さんご自身の人柄が、そのまま映画になっていることだと思います。ピュアで、純度の高い感情だけを描いているわけではなく、もっと泥臭い部分や、人間ってどうしようもないな、と思うような弱さ。そういう部分を、決して否定せずにユーモアに変えてくださる。皮肉なことを言っているはずなのに、するどく刺さってこない。痛くないんですよね。
それは、セリフの砕け方だったり、音の選び方だったり、ちょっとしたワードセンスだったり、全部、沖田さん自身が持っている空気感なんです。
普通にリアルに演じようとすると、すごくシビアで、見ていて苦しくなる世界にもなり得るはずなのですが、そこにユーモアが溢れているから、不器用なのにキュートな人たちが生まれてくる。見終わった後に、なんだかすごくハッピーな気持ちになって、救われるんです。登場人物が抱えている、ちょっとあくどい感情とか、醜い部分すら、全部、昇華してくれる。そういう作品が、沖田さんには何本もあるんですよね。
