ネルドリップで淹れる贅沢な一杯

 コーヒーは、10種類のうち8種類が自家焙煎。

 2013年から自家焙煎をはじめたそうだが、2004年の開店当初からの味を気に入っているお客さんもいるため、昔から仕入れてる豆を2種類、今も変わらず残しているのだそう。

 この日は、坂爪さんに「コーヒーらしい苦味を味わいたいなら」とすすめてもらった、自家焙煎のオリジナルをセレクト。対話しながら注文できる気さくなところも魅力的だ。

「TIES」でいただくコーヒーは、坂爪さんがカウンター越しに一杯ずつ、布製のフィルターを使ったネルドリップで淹れてくれる。

「ネルがね、やっぱり一番美味しいから」

 ネルドリップを選ぶ理由を尋ねると、返ってきた答えはとても率直だった。ネルで淹れたコーヒーは、口当たりがまろやかで、絹の生地のようななめらかさがあるという。

 一方で、ネルドリップは手間もかかる。一般的なコーヒーは15gほどの豆で150ccほど抽出できるが、ネルドリップでは30gの豆を使い、抽出量は110ccほど。効率だけを考えれば、決して割のよい方法ではない。

「ネルドリップコーヒーというのはね、儲かんないんですよ」

 そう笑いながらも、坂爪さんはこの淹れ方を続けている。お客さんに届けるおいしい一杯のために、手間を惜しまない。

 ネルドリップのコーヒーも、たったひとりで10種類を仕上げるケーキも、「愛がないとできないですよ」と坂爪さんは話す。

 そんな坂爪さんの後ろには、岐阜の窯元のもの、小田焼、北欧ヴィンテージなど個性豊かな器が上品に並んでいる。和のものも、洋のものも、ひとつずつ気に入ったものを揃えていったという。

 運ばれてきた一杯は、ヴィンテージのロイヤルコペンハーゲンのカップに注がれていた。

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