2頭が同時に出てくるかは当日決定

 2頭は、四六時中、一緒にしているわけではなく、部屋や餌を食べる場所は別々。朝、2頭の様子を見て、同居するかどうかを決めているそうですが、同居がうまくいくのは、2頭の性格も大きく関係しているようで……。

「ソーンがとにかく寛容なんですよね。アムールトラはオスのほうが体が大きいので、本気で争ったらメスはどうしても力負けしてしまいます。ソーンはアムールトラの中でも特に体が大きいほうですが、それでもうまくいっているのは、ソーンが優しくて適度に引いてくれるから。ローラがぐいぐい行っても、力を加減しながら相手していますからね。ただ、私たち飼育員には厳しくて、よく怒ります。それもまぁ、心を許しているからで、本当に知らない人がいると不安そうにしていたりします。

 一方、ローラはかなりのおてんば。トラに限った話ではないですが、ネコ科の動物は歳を重ねると若い頃と比べてあまりオモチャなどに興味を示さなくなることが結構あります。けれど、ローラはいつまでも経っても遊ぶのは好きで、おもちゃを振り回したり破壊したりしてよく遊んでいる。元気いっぱいで若々しい印象です。

 また、ローラは人間に対しても寛容です。子育て期間でも、ソーンだけではなく、我々飼育員に対しても友好的で、出産初日から柵越しにふんふんと鼻を鳴らして餌を求めてきたので驚きました。出産直後のトラは敏感で、人間が近くにいることを気にして育児放棄する可能性もあるので、近寄らずに世話できるよう、出産用の箱を作ったり、部屋に暗幕をつけたりして入念に準備していたためです。

 そして、子が動けるようになるまで外に出られないので、出産後しばらくは母親も部屋に篭りっきりになってしまうんですが、ローラは出産後も過度に警戒することなく、時折産箱から出て外に出たいとアピールするので、子が寝ている少しの時間だけ放飼場に出したりもしていました。私たち飼育員は、ローラのそんな性格に随分と助けられました」(川崎さん)

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