「猫とは“あっさりした感じの同居人”の関係です」

――先生にとって猫はどんな存在ですか?

 日頃ひとりで制作しているので、猫がいないと話し相手がいない(笑)。でも、そんなに絡みはないんです。まとまった時間だと、1日に2、3回くらいですかね。

 お互いに話しかけられれば返すけど、それ以上でもそれ以下でもないみたいな存在感で。あっさりした感じの同居人という感じ。

――遊んだり猫吸いしたりしないんですか?

 それなりに遊んだりすることもあるけど、常に抱えてるとかそういう距離感ではないです。かたわらとか部屋のどこかにいる。なんなら別の部屋にいることも。気配がある、くらいがちょうどいいですね。

――けっこうクールな関係なんですね。

 猫たちにとっては、私はそれこそ幽霊みたいな感じかもしれません。「よくわからんが、いる」みたいな(笑)。でも、お互いに半分どうでもいいくらいの温度感で暮らしているのが心地いいんです。

――今、何匹飼っていらっしゃいますか?

 2匹です。12歳のネルネと2歳のキュウです。キュウはもっさもさのでかいオス猫で、ミルキーのモデルにしました。ネルネはエリザベス寄りのアイドル猫。「自分はかわいい」ってわかってるタイプです。

――2匹同士はどんな関係ですか?

 いとこ同士ではあるのですが、片方が若いのであまりいっしょに遊んだりはしない。バラバラに生きてる感じですね。

――やっぱり2匹はいてほしい?

 そうですね。1匹だと愛が向きすぎてしまいそうで。分散させた方がいいのかな、と。

――作品に行き詰まったとき猫に助けられたりすることはありますか?

 お互いに我関せずなので、そういうのはありませんね。仕事机の横にかごを置いていて、高齢のネルネはそこに入って寝てることが多いんですよ。

 それが……「藤子・不二雄・Fミュージアム」に行ったら、なんとF先生の机と猫かごの配置がうちとまったく同じだったんです!

――おお!

 「いっしょだ! つまり、この配置は漫画家的に正しいんだ」と(笑)。「F先生と同じならがんばれる!」と思いつつ原稿やってます。

――描いているときにちょっかい出してきたりしませんか?

 それはないですが、一度とんでもないことがありました。展覧会に使う大きいポスターが届いたとき。「さぁチェックしよう」と思って広げた瞬間、その上に粗相をされてしまって。その紙のにおいがいやだったみたいで。一瞬で「異物だ」と思ったんでしょうね。

 さすがにそれを展示するわけにいかないので。作り直さなければならなくなって大迷惑をかけてしまいました。ごまかしようがないので正直に言いました(笑)。

――当事者的には大事故ですが、そんなエピソードもかわいく思えてしまうから猫は魔性ですね。『るすばん猫きなこ』に登場する猫たちは見た目も性格もそれぞれに魅力があって、ちょっとした仕草も笑ってしまいます。

 猫マンガとしても楽しんでもらえる余地を残しているつもりです。世の中はたいへんなことになっていても、生き残った猫たちはいつも通りのテンションで。つらい描写もある作品ですが、危機感のかけらもない猫たちの姿にほのぼのしていただけたらうれしいです。

――ありがとうございました。

今日マチ子(きょう・まちこ)さん

マンガ家。東京藝術大学卒業。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、15年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。『みつあみの神様』は短編アニメ化され海外で23部門賞受賞。20年以降、コロナ禍に揺れる人々の様子を描き続けた「#stayhome」シリーズを発表。25年、『cocoon』がテレビアニメ化。その他、『みかこさん』『アノネ、』『いちご戦争』『かみまち』『すずめの学校』『おりずる』など著書多数。

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