福井から戻るたびに
軽井沢と東京の家に無駄がないかを見直しています

GENOMEで購入したテーブルと椅子。奥には、軽井沢から運んだカリモク。

 いま一番すっきりしているのは福井のアトリエです。昨年の5月から借りていて生活空間としては1LDKしかありませんが、狭いからこそ圧迫感のない家具を選び、小物類も最低限のものしか置いてないからです。全身が映るタイプのミラーも壁掛けの細長いモノにし、ベッドもマットに脚がついただけのシンプルなモノを選びました。無印良品の脚付マットレス、これはボックスシーツもかけやすいしオススメです。

 やはり1軒目よりも2軒目、2軒目よりも3軒目と、暮らし方や考え方も変わってきたので、今の自分の好みや気分・生活様式にあったものにしたくなりますね。

 福井での暮らしを通して「モノなんて少なくたって、十分暮らせるんだなあ」と改めて思うようになりました。

 そして軽井沢と東京の二拠点生活の時には、東京に戻ると「モノが多いなあ」って思っていましたが、いまでは、福井から戻ると軽井沢さえモノが多いなあと感じるようになりました。

 一番モノが少ない福井が、自分の理想とする生活の基本ラインとなってきています。

 そうして福井から戻るたびに、軽井沢と東京の家に無駄や不用品がないかを見直しています。だから初期費用はかかったけれど、それからはほとんど大きな出費はなくなり、さらにそれぞれの家からどんどんモノが減りつつあります。

『羆撃ち』久保俊治・著/松尾たいこ・絵(小学館文庫)から

松尾たいこ(まつお・たいこ)
アーティスト/イラストレーター。広島県呉市生まれ。1995年、11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。セツ・モードセミナーに入学、1998年からイラストレーターに転身。これまで300冊近い本の表紙イラストを担当。著作に、江國香織との共著『ふりむく』、角田光代との共著『Presents』『なくしたものたちの国』など。2013年には初エッセイ『東京おとな日和』を出し、ファッションやインテリア、そのライフスタイル全般にファンが広がる。2014年からは福井にて「千年陶画」プロジェクトスタート。現在、東京・軽井沢・福井の三拠点生活中。夫はジャーナリストの佐々木俊尚。公式サイト http://taikomatsuo.jimdo.com/

Column

松尾たいこの三拠点ミニマルライフ

一カ月に三都市を移動、旅するように暮らすイラストレーターの松尾たいこさんがマルチハビテーション(多拠点生活)の楽しみをつづります。

2016.02.27(土)
文・撮影=松尾たいこ