今度は、ハチミツをビールに!?

外観がポップなデザインのランビック・ビジター・センターの入り口。

 ランチと試飲が終わったところで、更にランビックビールについて理解を深めるため、ビジターセンターに向かった。ここは、歴史や、種類、麦芽のテイスティングに、顔ハメパネル(!)まで、ランビックビールに関する様々な疑問を解決してくれる場所。もちろん、試飲もできるし、ビールのお土産を買うこともできる。

館内にはランビックビールに関する様々な展示が。実物大のオーク樽の中に入ることもできる。

 ここで、ランビックビールについて、もう少し詳しくご説明しよう。実は、私も今回の取材までは「ランビック」という単語すら知らなかった。でも、リンデマンス醸造所で、実際の醸造現場を見せてもらって少しずつ理解してきた。それにしても、空気中に漂っている酵母を使って発酵させるなんて、ほんとうにビックリした!

 ランビックビールの醸造には、ほかにもいくつかの特徴があった。まず、使用されるホップは新鮮な物ではなく、3年以上寝かせて酸化させたものなのだという。しかも通常のビールよりも大量に。これは、香りや味のためではなく、酸化防止剤として利用しているからなのだとか。

 その麦汁を、通常のビールの数倍の時間をかけて煮沸する。そして、前ページでご紹介した平たい容器に入れて一晩冷やし、オーク樽に入れて2~3年熟成させるのだけど、ここでまた驚きの数々が。

もちろん、ビアカフェが併設されていて、ランビックビールを楽しむことができる。

 空気中に漂う酵母を使うということだけでも驚きなのに、醸造所内は改装厳禁で、掃除すらしないという。クモの巣があっても決して取り除いたりしない。なぜなら、クモは、ビールに好ましくない微生物を運んでくるショウジョウバエを食べてくれるからなのだ。そして、ネコの出入りも自由。ネズミを退治してくれるから。なんともオーガニックでサステイナブルなシステム!

左:試飲用のビールを用意してくれるスタッフの方。あれ、そんなに静かに注いだら泡が出ないよー!
右:泡のないビールグラスに入れられたのは、なんと、ハチミツ!

 そんな話を聞きながら、ここでもビールを試飲することに。ここで出されたビールが、またまた初めての味。ハチミツビールだった。しかも、ビールなのに泡がない。ビールというよりも、ビールベースの甘いカクテルといった味。「ベルギーのビールって、なんて自由なの!」と、私の中のビール観がどんどん壊されて行くのを感じたのだった。

ここに来れば、様々な種類のランビックビールを購入することもできる。
ちょうど地元の女性が、ギフト用のビールを買いに来ていた。「ビールはよく贈り物に使っているわ」と。ラッピングがかわいい!

Visitor centre “De Lambiek”(ランビック・ビジター・センター)
所在地 Gemeenveldstraat 1, 1652 Alsemberg, Belgium
電話番号 02-359-1636
URL http://www.delambiek.be/

2016.02.23(火)
文・撮影=たかせ藍沙