どうせならアートのあるホテルに泊まる!
シンガポールの国を挙げての芸術振興は、文化的アイデンティティを求めるだけでなく、観光滞在のツーリスト獲得も目指しているといわれている。確かにシンガポールは、いまやアジア一おいしいグルメの街だが、観光となると……ちょっと淋しいかもしれない。美術愛好家やアートマーケット狙いに加えて、ツーリストも増えてくれればというのも願いのようだ。
そこで、今回開館した「ナショナル・ギャラリー・シンガポール」を訪れる際に、おすすめしたいホテルが「カペラ・シンガポール」だ。
このホテルグループ「カペラ」は、かつてリッツ・カールトンの伝説的ホテリエといわれたホルスト・シュルツェ氏が“自分のつくりたい理想のホテル”として、リッツ退陣後にスタートさせたことで知られる。
で、そのウルトラ・ラグジュアリーな世界観ももちろん素晴らしいのだが、今回の美術館訪問にふさわしいことに、現代アートのコレクションがとても充実しているのだ。館内そこかしこに飾られた作品を堪能するだけでも、これがなかなか楽しい。
で、この現代アートの似合うスタイリッシュなホテルを設計したのが、英国人建築家にして男爵のノーマン・フォスター&パートナーズだ。NYのワールドトレードセンター跡地の新設計を勝ち取った建築家。
19世紀のコロニアル建築とコンテンポラリー建築を融合させた手腕はさすが。シンガポールのダウンタウンとは違う、セントーサ島という自然の中に、喧騒とは無縁の世界をつくり出している。ほんとに、静か。とてもノンビリできる。
そしてさらに納得なのが……。シックでいて退屈でなく、シンプルでいて冷たくない内装を手掛けているのが、ジャヤ・イブラヒム氏。多くのアマンリゾートを手がける世界有数のインテリア・デザイナーだが、ここでも見事な空間をゲストに提供してくれる。華美ではなく、でもとても上質で、居心地満点のインテリアは、自宅にも取り入れたいコツ満載!
右:ホチキスとかクリップまで、整ってます。
2016.01.05(火)
文・撮影=大沢さつき