Magnificent View #679
マーライオンパーク(シンガポール)

(C) Brian Sytnyk / Masterfile / amanaimages

 シンガポールといえば、真っ先に思い浮かぶのがこの光景。頭がライオンで身体が魚の姿をしたマーライオンが海に向かって勢いよく水を吐き出している姿は、ガイドブックでもお馴染みだ。

 それにしてもなぜ、このような架空の動物が像になったのか。それは、シンガポール成り立ちの伝説に由来する。11世紀にスマトラ島の王族が現在のシンガポールに上陸した際、ライオンによく似た動物に出会ったことから、彼はこの街にライオンを意味する「シンガ」と、街を意味する「プーラ」を合わせた「シンガプーラ」という名前をつけた。

 このライオンの伝説を元に、シンガポールがかつてジャワ語で「トマセック(海の街)」と呼ばれていたことから、海をイメージする魚を組み合わせ、1972年にマーライオン像が誕生したのだ。

 一時期は、新設された橋の陰になり正面から見えなくなったり、ポンプの故障で口から水を吐かなくなったりしたことから、「世界三大がっかり」という不名誉な枕詞をつけられていたこともある。だが、2004年、現在の広々としたマーライオンパークに移設されてからは一転。きらびやかな高層ビル群をバックに、堂々とした姿を見せている。

Column

今日の絶景

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2015.08.10(月)
文=芹澤和美