渓流を見下ろすテラスでニジマス料理を

新鮮なニジマス料理。見た目よりはあっさりとしている。

 翌日は車で山道を向かいます。いい旅においしいものはつきもの。この島のイチオシはカコペトリアという山間部の小さな村の名物ニジマス料理。海に囲まれているにもかかわらず魚の多くが冷凍であるこの国で、新鮮な魚は貴重です。

 The Mill(外部サイト)というホテル内のレストランのテラスで川を見下ろしながら午餐をぜひ。車の運転がないのなら、この島でつくられたワインをあわせると面白いでしょう。ギリシャ語でメゼといえば前菜のこと。しかしこの国では名物料理のフルコースで15~20種類もの料理が少しずつ出てきます。小食の日本人には適量でおすすめ。

分断国家の国境を徒歩で越える

国境には緩衝地帯があり、対岸のトーチカの銃眼が不気味である。

 車で山道を下り、島の中央部にある首都ニコシアにやってきました。この島国は四国の半分ほどの大きさしかないにもかかわらず、1975年以降、南北に分断されています。

 かつて分断国家といえば、ドイツ、ベトナム、イエメンなどがありましたが、いずれも合併し、いまや珍しい存在。南側の国はギリシャ、北側の国はトルコが支援しており、南側ではユーロ、北側ではトルコリラが通貨として使われています。かつては国境で銃撃戦が起きるなど、緊張した国境だったのですが、現在は両国の合併が議論されるほど落ち着いています。

 ニコシアはかつてのベルリンのように分断されていますが、パスポートさえあれば、簡単に行き来可能です。私も南から北へ入国しましたが、滞在は約30分。人生最短の国訪問でした。

2015.12.07(月)
文=橋賀秀紀