穀物や野菜を中心とした食事法、マクロビオティック。この連載では旬の食材を使った簡単マクロビレシピを紹介します。オールベジとは思えないしっかりしたおいしさと食べごたえは、週末のブランチや友人の集まるパーティレシピにもぴったり。ストイックになりすぎない「ゆるマクロビ」をはじめましょう。

「銀杏」とレンコンのしんじょ風

 美しく色づくイチョウ並木は、秋の深まりを感じさせる日本の風物詩。イチョウの並木道を歩くとほんのりと、独特の香りが漂うことがありますが、その正体がイチョウの実である銀杏です。実はこの銀杏、栄養がとても豊富なことでも知られています。そこで、同じ時期に旬をむかえるレンコンと合わせ、しんじょ風の落とし揚げを作ります。

 しんじょとは、エビや魚のすり身に山芋と卵白をつなぎに合わせたタネを蒸したり、茹でたり、揚げたりする料理ですが、今回は片栗粉を加えて手軽にタネを作ります。レンコンと銀杏、旬の食材を組み合わせたおいしいハーモニーをぜひお試しください。

【旬の食材】銀杏

 「銀杏」はイチョウの木の実で中国が原産です。古来より精力をつける特効薬として用いられてきたほか、肺の機能を回復し、せき、痰、ぜんそくを改善する効果があると言われています。

 ビタミン、ミネラルも豊富で、特にカリウムが豊富に含まれているので利尿を促し腎臓病予防にも効果があるとされます。マクロビ的には種子類は全般に「一物全体」(=食材を丸ごといただく)に沿った理想的な食材と考えられています。

 そして銀杏には、全身の血流を良くし、特に脳の血流を促進するので認知症予防、心臓の強化や血圧を安定させる効果、更には循環器の改善に有効であるとされ、栄養価が高いことで知られています。ただし、一度に大量に摂ると消化不良を起こすので、大人は一日に10粒、子供であれば5粒を目安にとるようにすると良いでしょう。

 手軽に使える加熱調理ずみの缶詰やパウチされたものが売られていますが、生の銀杏の煎りたて、茹でたてのおいしさは格別。ひと手間かける価値はありますよ! 旬の時期に殻ごと冷凍しておけば一年中使えます。

2015.12.01(火)
文=中村恭子
撮影=秋元良平