【WOMAN】
現代人にとって明治の日本はほとんど外国。新鮮&刺激的
1878年(明治11年)、イギリス人女性冒険家イザベラ・バードは、横浜から前人未到の西海岸ルートを進み、蝦夷ヶ島に渡ってアイヌの集落を目指す旅のプランを立てる。日本に上陸した第一印象は、「まるで他の惑星に来たかのよう」。そこに恐怖の色はない。歓喜と興奮、希望に満ち満ちた彼女の表情が、とってもイイ。
成功の鍵を握るのは、険しい旅路を共にしながら日本文化のガイドをもこなす、優秀な通訳を雇えるか否か。ついに出会った凄腕の通訳ガイド・伊藤鶴吉は、身元不明でなんだか怪しい。バードが最終試験として出した課題は、「これから私に横浜を案内してみせて下さい」。そう告げた時はキリッとしていたのに、イトーに案内された場所ではしゃぎまくるバードの顔が、やっぱりイイ!
喜怒哀楽を子どものように爆発させるバードと、クールな言動を崩さないイトー。デコボコだからこそピッタリな、二人の旅路を見守っていきたい。
『ふしぎの国のバード』(既刊1巻) 佐々大河
原作は、イザベラ・バードの著書『日本紀行』。第1巻では横浜を出発し、江戸、糟壁(春日部)、日光へ。現代人にとってはほぼ外国と言える明治初頭の日本を、バード&イトーの楽しい掛け合いと、絵の演出で魅せる。かつての少女の成人式“髪上祝”の鮮烈さといったら!
KADOKAWA 620円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2015.09.03(木)
文=吉田大助