世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第95回は、ドバイを訪れた大沢さつきさんが、ストイックだと思われがちなイスラム教の断食の意外な現実についてレポートします!
空腹は“ラマダン・セール”の爆買いで満たす
イスラム教の世界では毎年、ラマダン=第9月の日の出から日没まで、およそ1カ月間のサウム(断食)が行われる。ムスリムに課せられた5つの義務のひとつで、世界中約16億人のイスラム教徒が同じ試練を共有するとても神聖な時期。プチ断食なんぞとは比べものにならない厳しい“行”と思っていたら、実はなにやらお祭り気分なのだそう。日本式にいうと盆と正月が一度に来たような、そんな雰囲気とか。アラブ首長国連邦ドバイのラマダンの様子をのぞきに行った。
まず空港に着くと、パーティションに隠されたカフェが目に入る。ムスリムでないツーリストは飲食可ということなのだが、断食をしている人たちの目に触れぬようにという配慮。公の場ではタクシーの中でももちろん、飲食のみならず、喫煙もガムを噛むのもNGだ。
観光客はホテルのレストランで食事ができるが、アルコールは日没後(20時~だったり21時~だったり)でないと飲めない。ムスリムは飲酒をしないので、夕食時にビールでプハーッとできずとも構わないのだろうが、灼熱のドバイでこれができないのはツライ。よってホテルの部屋で一杯飲んでから、夕食に出かけるのがコツらしい。
で、どこがお祭り騒ぎなんだいと思いつつ“ラマダン・セール”の恩恵にあずかりにショッピング・モールへ。この時期ドバイは外気温40度アップもザラで、冷房のガンガン効いたモールでのお買いものがデフォルト。市内には大小40ほどのモールがある。
と、爆買いな人たちを発見。両手に抱えきれないほどの紙袋を提げて、まだまだ買うぞという雰囲気。空腹のストレスを買いもので発散させているのもあるし、ラマダン明けにある大きな移動祝祭日イードに向けて服を新調という意味もあるとか。30%オフ、40%オフのお買い得なショッピングを満喫しているように見受けられた。
2015.07.21(火)
文・撮影=大沢さつき